●B級グルメから最高級ふぐなど、食べることを愛す

 国民的英雄の舌を納得させるには、やはりスペシャルなものが必要かと思いきや、前出の記者は長嶋氏の食事について、こう話す。

「現役時代から健啖家でした。第2次監督時代もよく食べていて、堀内恒夫コーチは“ミスターにはかなわない”と言っていました。美食家ではありましたが、なんでも食べる。宮崎キャンプで昼休みに監督のもとを訪ねると、“このコロッケ、特別うまいんだよ。食べて!”と勧められたのでいただきましたが、至って普通でしたね(笑)」

 B級グルメからこだわっていた中華、最高級ふぐなど、食べることを愛するミスターは、「男は信頼できる仲間を作るためにも外で飯を食べるべき」という男の哲学を持っていたそうだ。

「それを僕らにも説いていたんですが……実は一番のパワーの源は、亜希子夫人の愛妻料理だったそうです。記者たちにバレないように、こっそり帰って食べていたそうですよ(笑)」(前同)

■松井秀喜との師弟関係にも伝説は多い

 自ら手塩にかけて育てた松井秀喜氏との師弟関係の中にも、伝説は数多い。「ミスターは93年、松井が入団して、キャンプ初日のフリーバッティングをひと目見て、これは大物になると将来を確信したそうです」(前出の巨人軍番記者)

 ポイントは“バッティング”ではなかった。「バッティング投手は引退した選手が多く当然年上。だから、新人は気を遣ってボール球でも振ってしまうんですが、松井は“フォームが崩れる”と、まったく振らなかった。ミスターもその度胸に“大したヤツだ”と驚いたそうです」(前同)

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