『アンナチュラル』主演の石原さとみ(左)と『科捜研の女』主演の沢口靖子
『アンナチュラル』主演の石原さとみ(左)と『科捜研の女』主演の沢口靖子

 2019年の冬ドラマが始まった。1月7日からスタートした、フジテレビ系の月9は関ジャニ∞の錦戸亮(34)が主演を務めるドラマ『トレース~科捜研の男~』。科捜研が舞台のドラマだ。

 科捜研を舞台に繰り広げられる事件の数々……現場に残された痕跡(=トレース)はどんな“真実の欠片”を示すのか? そこから導き出される“鑑定結果”とは……? 錦戸さん演じる「男」が抱える“陰惨な過去”の真相は……?(『トレース~科捜研の男~』ホームページより抜粋)

 同ドラマは、累計40万部突破の大人気コミック『トレース~科捜研法医研究員の追想~』(ノース・スターズ・ピクチャーズ『月刊コミックゼノン』連載)が原作。原作者の古賀慶氏は、実際に鑑定をしていた元“科捜研”の研究員だったとのことで、リアルな現場を再現できるか期待がかかる。

 とはいえ、放送枠は月9。どこまでリアリティに挑戦できるのかが最大のポイントになりそうだ。2018年の石原さとみ(32)主演の法医学ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)のような緻密でリアル感たっぷりの作品になるのか、沢口靖子(53)の人気シリーズ『科捜研の女』(テレビ朝日系)のような、科捜研での仕事を詳細に紹介するソフトタッチ作品になるのか、早速第1話をチェックしたい。

■科捜研の場面が少ない!

 副題を「科捜研の男」としている割に、科捜研でのシーンが少ない。『科捜研の女』では、現場から持ち帰ってきた証拠品をひとつひとつ鑑定しているシーンが特徴だが、実際に鑑定しているのは科捜研の真野礼二(錦戸)と沢口ノンナ(新木優子・25)だけで、科捜研のメンバーが仕事をしている描写がなかった。

 張り詰めた緊張感だったり、想像もしなかった結果に驚くようなワクワク感もない。科捜研である設定が残念なほどに薄いため、真野の実力が発揮されていない上に存在感も薄くなっているように思えた。

 真野を演じる錦戸が、今回のような心に闇を抱えた役をどう演じるのかも楽しみなポイント。今まで見たことがないような、クールで冷静沈着な男を演じきってほしい。

■もっとリアリティがほしい!

 事件の被害者が幼少の頃から母とともに父親に日常的に暴力を受けており、その悲惨な環境が明らかになるが、ポイントになったのが火傷の痕。『アンナチュラル』では、事件を通して登場人物の心情や生きてきた背景、死に向き合うさまが胸を打ったが、『トレース』では鑑定の過程を見せず結果に驚き目を丸くするような演出。これでは単発的な感情に見えてしまう。被害者が生きてきた意味について語る場面があったが、死と向き合う描写が少ないゆえ軽く感じられたのが残念だ。

 新木優子が演じる沢口ノンナが、事件と向き合うことで成長していく過程も楽しみだ。新木は
2018年10月クールのフジ月9『SUITS/スーツ』では有能な女性の役を演じていたが、今回のフレッシュながら着実に経験を積んでいく役は本人のキャリアに重なる部分があって違和感がないので期待したい。

  1. 1
  2. 2