■原辰徳新監督が丸佳浩と炭谷銀仁朗を獲得した理由は?

 ただ、今回の大補強劇の裏には、原監督の“秘策”が隠されているのだという。まず1つめは、丸の獲得にある。リーグ3連覇中である広島の主砲だった丸。昨季も3割6厘、39本塁打、97打点という素晴らしい成績を残し、2年連続でMVPにも輝いた。

「スラッガーとしての資質もさることながら、原監督が何より評価しているのは、丸の出塁率なんです」 こう解説するのは、スポーツ紙のベテラン記者だ。「丸の出塁率は昨季のリーグトップ。同4位の坂本を2番、丸を3番に置けば、昨年100打点をマークした4番・岡本の打点は、もっと増えるはず。他チームには非常に怖い打線となります」(ベテラン記者)

 坂本、岡本を除けば、なかなかチャンスで打てなかった昨季の巨人。1点差負け試合の数は、リーグで最も多かった。「丸獲得の狙いは“打線の軸作り”。ズバリ鍵となるのは、実質2年目のジンクスを迎える岡本です。彼が厳しいマークをはね返せるようなら、丸はさらに生きるでしょう」(前同)

 そして2つめの秘策。キーマンとなるのは炭谷だ。「昨季の炭谷は、正捕手に座った森友哉の控え。今年32歳という年齢を考えても、1億5000万円の3年契約という好条件を出してまで獲る選手とは思えません。疑問を持つ球界関係者も多かったようですね」(スポーツ紙記者)

 しかし、貴重なFA枠を使ってまで、炭谷を獲りにいったのには理由があるのだという。「それは、正捕手・小林誠司に対する原監督の“不信感”です。小林の評価は極めて低いと言わざるをえません」(前出の番記者)

 小林といえば、菅野智之山口俊といったベテラン投手からの信頼が厚いことで知られる。「しかし、その反面、まだ成長過程にある若手投手を勝たせるようなリードができない。首脳陣は、将来のエースを育てるような捕手を望んでいたんです」(前同)

 そこで浮上したのが炭谷だったというわけだ。「今年メジャーに渡る菊池雄星をエースに育て上げたように、炭谷には長年西武投手陣を引っ張ってきた実績がある。“炭谷で投手陣を底上げする”ことこそが原監督の真意でしょう」(同)

 昨季イースタンで投手三冠を獲得した高田萌生、90イニングで84奪三振を記録した左腕・大江竜聖など、確かに今の巨人の若手投手には期待の逸材が多い。今季、阿部慎之助が捕手に復帰するとはいえ、“教育役”として炭谷の存在は大きいだろう。

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