蛭子能収
蛭子能収

 失礼なことを言っても蛭子さんだから許される。ビートたけしも認める鬼才の、楽しく人生を過ごすコツとは…!?

「この間もロケに行って、駅のホームを歩いたんですよ。そしたら滑って転んで、右手の小指を骨折しちゃってさ……。家に帰って女房に慰めてもらおうと思ったら、“落ち着きがないからダメなのよ!”って怒られちゃうし、しばらく漫画の仕事を受けられないから収入も減っちゃうし……悲しくなるぐらいツイてない。だから今のオレは、誰よりも元気がないんです。新年からトホホですよ(笑)」

 こう失敗談を語りながら頭をポリポリとかく蛭子能収さん。漫画雑誌『ガロ』などで発表された独特な画風の漫画家としての顔だけでなく、太川陽介との旅番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京系)など、バラエティタレントとしての顔も持つ。現在71歳。大物でありながら自虐も辞さない愛すべきキャラの蛭子さんに、本誌はインタビューを敢行。まずは『路線バス』で訪れた思い出の場所について聞いてみた。

「あ~思い出の場所ね……エッと、どこだったっけ(笑)。番組でいろんな土地に行きすぎて、行った先から忘れちゃってるんですよ。そうそう、山口県の秋吉台は本当にキレイだったなァ。『路線バス』の移動中は居眠りをしているか、窓の外を見ているんだけど、秋吉台は野原に石灰岩の岩肌がたくさん露出したカルスト台地で、そんなすごい場所をバスが走るんですよ。あと宮城県の松島も、たしか林の中をバスが通って行ったんだけど、すごくキレイでワクワクしました。

 オレはグルメには本当にうとくて、そっちはまるで思い入れがないの。田舎に行くと、その土地の名産を薦められることが多いでしょ? でも、名物料理って焼き魚や刺身が多い。どうもアレが苦手で……。オヤジと兄が漁師だったこともあって、子どもの頃に魚をさんざん食わされてたせいで飽きちゃったんですよ。それこそ、うなぎなんて、どこがうまいんですかね? 番組でうなぎ屋さんに行くこともあったけど、うなぎのメニューしかないから、“困ったな~”“お茶漬けのほうがマシだな~”ってボヤいてた。太川さんなんかは、いつも食通ぶった顔してるから、その日もうれしそうに食べてましたけど、オレには、まったく魅力が感じられないんですよ。オレは、それよりもお肉が大好き。やっぱりトンカツとかハンバーグとかステーキを食べると、元気が出ますからね。若い頃からファミレスに行ってはお肉のセットを頼んでいました。ここ10年はロイヤルホストのソーセージやハンバーグが、てんこ盛りになったセットばかり食べてますよ」

 蛭子さんの魅力といえば、やはりこの自由気ままな発言の数々。『路線バス』でも太川陽介やマドンナ(ゲストの女性タレント)がご当地の味に舌鼓を打つ中、一人、カレーやトンカツやオムライスを注文する蛭子さんの姿が人気となった。

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