■扶養控除も要チェック

 さらにチェックしたいのは「扶養控除」である。「30年度から配偶者控除が改定され、夫が控除額38万円を適用できる妻の収入が150万円に拡大されています。同時に、夫の合計所得が1000万円以下(給与所得のみの場合は収入が1220万円以下)に限定されていますので、まずは、この確認が必要です」

 そして見逃されがちなのが、親が70歳以上で扶養していれば適用される「老人扶養控除」。「同居していれば58万円を控除できます。同居していなくても、親の口座に生活費や療養費などを送金していれば一人当たり48万円の控除が認められます。仕送り額に決まりはなく、毎月1000円でも控除額は変わりません。父親と母親、それぞれに送っていれば、2人合わせて96万円の控除になりますね」

 親の年金収入が年間158万円以下という条件つきながら、もし年収500万円だとすれば、48万円の老人扶養控除を申請することで、所得税・住民税合わせて約10万円が返ってくることになる。控除の適用漏れは、5年前までさかのぼって申告できるので、平成25年度からの分も取り戻せることも覚えておいたほうがいい。

■定年後の給料は…

 確定申告だけでなく、国からもらえるお金は1円たりとも逃してはいけない。「中高年男性がもらえるお金は、まだまだあります。たとえば、定年後、継続雇用制度で会社に残ったり、別の企業に再就職して、給料が現役時の75%未満になった人は、継続雇用なら『高年齢雇用継続基本給付金』、退職後の再就職なら『高年齢再就職給付金』があり、最大で各月の賃金の15%相当額がもらえます。条件は、雇用保険の加入期間が5年以上で、定年後の給料が34万1015円以下であること。該当する人は多いかと思います」

 また、キャリアアップを目指して、厚労省が指定する教育訓練講座を受講・修了した場合、その経費の一部を受け取ることができる「教育訓練給付制度」も強い味方となってくれそうだ。「一般教育訓練給付なら受講費用の20%。より専門性の高い講座を受けた人は専門実践教育訓練給付で訓練費用の40%が給付されます」

 専門実践教育訓練指定講座で受講できる主な講座は、美容師、理容師、栄養士、介護福祉士、はり師、柔道整復師などなど。人生半ばで新たなチャレンジを考える方は、ぜひ活用したい。

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