■志尊淳が放つ魅力と、独特なキャラをモノにするすごさ

 そしてアタルの占い後に登場したのが、放送前にリリースされ話題になった志尊淳による「女装」である。

 女子よりも、女子。肩を小さくして傘を持つ姿は、たたずまいからして女子らしい。あの無気力だった品川が、前向きな気持ちに脱皮した瞬間なのだが、まさかの女装にメーター振り切った感がたまらなく心地よかった。この芝居の幅広さが、志尊淳の魅力でもある。

 最近では、昨年のNHK朝ドラ『半分、青い。』で、主人公とともに漫画家を目指すナルシストな美少年を演じた志尊淳。彼は、不思議な役が多い。そして、どれもキレイにはまっているのだ。

 2017年の『きみはペット』(フジテレビ系)では、キャリアウーマンに拾われたヒモ男で実は有名なバレエダンサーという役で、かわいいとカッコいいのギャップで視聴者を翻弄。昨年1月に放送されたドラマ『女子的生活』(NHK)では、トランスジェンダーで心は女性、恋の対象も女性という難しい設定を演じ、昨年1月クールのドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)では、主人公の後輩ホスト役で、命を以って自分のものにしようとするストーカー的な好意を持っている男を演じた。どれも、クセが強く複雑な設定の役ばかりだ。

 それでも、自分のものにしてしまう魅力と芝居のうまさがある。

 昨年は、オリコン発表『2018年上半期ブレイク俳優(男優)ランキング』で1位を受賞するなど、評価も高い。今回演じる品川は、現状に満足いかないイマドキの新入社員の苦しみと葛藤を演じており、本人と年齢的にも同じ世代の会社員役だが、これも見事に演じている。

 現状を変えたいと思った品川が、アタルに見てもらうことで、仕事に前向きになり、これで苦手な上司の上野ともうまくやっていけるといいな……そんな終わり方だった。

 2月7日に放送される第4話では、品川にパワハラ気味に接していた上司の上野がフォーカスされるようだ。自信家で、仕事大好き人間の、上野の悩みとは何か? 自信のある仕事なのに、思うようにいかずヘコむ事態になるようだが、いったい何があったのか? 仕事しか生き甲斐がないように見える上野の本質を、早く「見て」みたい。(ドラマライター・木村麻子)

あわせて読む:
・男性アイドル描く、志尊淳のドラマ『ドルメンX』ヒリヒリした快作の予感
・松坂桃李か千葉雄大か? スーパー戦隊「歴代レッド」一番恋人にしたいのは誰?
・佐藤健『半分、青い。』ファンが涙した母親・和子との絆

  1. 1
  2. 2