菅田将暉
菅田将暉

 日曜夜のドラマに異変が起こっている。2月3日に放送された『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)第5話の視聴率が、10.4%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と発表されたのだ。

 日曜のこの時間のドラマとしてはこの視聴率は立派なのはもちろんだが、なんと同日放送の大河ドラマいだてん〜オリムピック噺〜』の視聴率10.2%を上回ってしまったのだ。菅田将暉(25)ほか豪華キャストの共演で注目された『3年A組』だが、大河ドラマを上回るほどの人気とは、いったいなにがスゴいのだろう? まずは2月3日の放送を振り返り、考えてみよう。

 生徒たちを監禁し、景山澪奈(上白石萌歌/18)自殺の真相に迫ってきた柊一颯(菅田将暉)だが、病に倒れてしまう。そのすきに逃げ出そうとする3年A組の面々。一方で警察は一颯の異変を知り、SITを校舎内へ突入させることを決める。そんな中、美術準備室の床下から、一颯に殺されたはずの中尾(三船海斗/20)らが見つかる。彼らは、一緒に逃げようと誘う生徒たちを尻目に「先生と一緒にこのまま学校に立てこもってほしい」と直訴。生徒たちは混乱して内部分裂を起こしてしまい……という展開だった。

 思わぬ真実が続々と明らかになった回で、第一章が見事に収束。いよいよ2月10日の回で、教師の中から悪者を探すという第二章に突入する。本作は小説やマンガの原作がベースではないオリジナル作品なだけに、一歩先の展開も読めないゾクゾク感がたまらない。ミステリーとして、確かに面白いドラマだ。

 しかしこの第5話だけを見ても、違う面白さを痛感する。あらためて感じたのが菅田将暉が演じる美術教師、柊一颯の熱量だ。

 景山の自殺と関連の深い「ベルムズ」との関係が判明した唯月(今田美桜/21)に対して、一颯が語った言葉が実に感動的だった。「恥もかかずに強くなろうと思うな」「おまえのこれまでは誰がなんと言おうと、絶対に間違っていない」。なんとも昭和くさい、熱い言葉ばかりだ。菅田の力強い芝居を見ていると、あらためてドラマタイトルの『3年A組』が適当につけられた題名でなく、『3年B組金八先生』シリーズへのオマージュになっていることを痛感させられる。

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