宮藤官九郎
宮藤官九郎

 中村勘九郎(37)が主演を務める『いだてん〜オリムピック噺〜』の平均視聴率が、9.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、大河ドラマ史上最速で10%を切ってしまった。今回は鳴り物入りで始まったこのドラマが、どうして視聴率を取れていないのか、考えてみたい。展開の複雑さや登場人物の多さはすでに指摘されているのだが、もっと根深い問題があるのではないだろうか? まずは2月10日の放送を振り返ってみよう。

 内容は嘉納治五郎(役所広司/63)はストックホルムオリンピックに参加する費用を工面するため、手を尽くしていた。しかし予選会で優勝した金栗四三(中村勘九郎)も三島弥彦(生田斗真)も、オリンピック不参加を表明してしまい……という展開だった。

 四三と孝蔵(森山未來/34)が日本橋ですれ違うシーンなど見どころはあったものの、視聴率は冒頭で紹介したように、またしても下落。これだけ不人気なのはどうしてだろう。

 まず、『いだてん』は明治から昭和の時代を描いているものの、そもそも大河ドラマだ。昨年の『西郷どん』は幕末、来年の『麒麟が来る』は戦国時代が舞台と、大河では歴史ファンが好む時代設定が選ばれてきた。例外はあるものの、大河ドラマ=本格時代劇というイメージがあり、そのことで一定の視聴者から支持を得てきた特別なドラマ枠なのである。

『いだてん』は確かに歴史を描いてはいるが、大河ファンが好む「いつもの時代劇」ではなかった。幕末の英雄譚や戦国武将たちの勇姿を見たい大河ファンにとって『いだてん』は、あまりにも突飛で“大河ドラマ”として見られなかったという人が多いのだろう。

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