■医療過誤の裁判例は…
医療ジャーナリスト・牧潤二氏は、こう語る。「医療過誤と思われる裁判例は、かなりの数あります。最高裁の最新データ(17年)ですと、年間に医療過誤の訴訟提起件数が857件。近年、増加傾向にあります。全国の病院数はおよそ9000ですから、10病院で1件の訴訟を抱えたことになります。訴訟がどうなったかのデータもあり、それを見ると約2割は原告(患者側)勝訴。また和解で賠償金を得ている例も多いです」
医者の対応に不安を感じたら、ICレコーダーなどで会話を録音しておくことが重要。だが、仮に裁判で勝てたとしても、死者は生き返らない。危険な病院を見分ける方法はないのか。前出の岡田氏は語る。
「過去に医療ミスがあった=危険な病院とは限りません。事故が起きた後にしっかりと対応したか、なぜ医療過誤が起きたのかを患者や家族にしっかりと説明したかが重要。それができない病院が問題なんです。私のところに相談に来る患者からの苦情のほとんどは、“医師が話を、ちゃんと聞いてくれない”“説明してくれない”ことに尽きます。これができれば患者と信頼関係が築け、ミスがあっても訴訟になることは少ないと思います」
『みつばちクリニック』(大阪府)の橋本惠院長(医学博士)は、こう語る。
「高度医療の場合、治療はチームで行います。名医を探すよりは、“病院のレベルを見る”という方針で臨まれるほうがいいでしょう。有名な医師が目当てでその病院に行っても、実際に手術をするのはお弟子さんというケースは多いようです。“病院のレベル”の判断ですが、大きな病院では症例数をHPで公表しています。症例が多ければ、熟練度が高いと見ていいでしょう」
ある日突然、自分や家族が当事者になってしまう可能性もあるのが医療ミス。そうならないための、病院選びが何より重要だと言えそうだ。