■私的小説とも言われて…

乙武「これは私のことになるんですが、3年前までの乙武洋匡は素晴らしく品行方正で、立派な聖人君子であるといったイメージを持たれ続けていたんですよね」

ゆま「そうですよね」

乙武「そのたび、私は“全然、品行方正じゃないですよ”と否定して、具体的なエピソードも語っていたんですけど、それも言えば言うほど“謙虚ですね~”と言われてしまうんです」

ゆま「何を言っても逆効果なんですね」

乙武「そう。どんなに黒い部分をさらけ出してもダメ。ところが3年前の不倫騒動で、そのイメージが見事に崩れ、私も下衆い人間だと、ようやく理解された。ただ、その一方で、障害者として、自分が社会にさまざまな問題を提起していきたい気持ちも本当なんです」

ゆま「誰だって、人の役に立ちたい部分もあれば、一方で、邪悪な部分もありますもんね」

乙武「まさにおっしゃる通りで、白い部分もあれば黒い部分もある。だけど、一度黒い部分をさらしてしまうと、今度は何を言っても“偽善だ”とか“お前が何を言っているんだ?”と言われるんです(笑)」

ゆま「すごく分かります。誰もが良いところも悪いところもあるのに、少しでも悪い部分が見えたら、袋叩きにするというか」

乙武「強烈な“レッテル貼り”をするんですよね。私に限らず、誰もが白い部分と黒い部分を持ち併せていると思うんですけど。とはいえ、人は絶対にレッテル貼りをやめることはないので、結局、その中で生きていかなければならない。ホストの世界を舞台にしたのは、そういうレッテルを貼られながらも、自分の生き方を模索している人たちの姿を書きたかったからなんです」

ゆま「なるほど。だから乙武さんの“私的小説”とも言われているんですね」

乙武「はい。でも全然売れなくて(笑)。少しでも興味を持たれた方がいたら、手に取ってもらいたいです」

ゆま「宣伝しておきます! ちなみに、小説はまた書かれるんですか?」

乙武「はい。2月から『note』で連載を始めます。今回のテーマは体は女性で、心は男性のトランスジェンダーの話。トランスジェンダーの友人の実話を基に書いた作品です」

ゆま「タイトルからして面白そう。楽しみです!」(次回につづく)

おとたけ・ひろただ 1976年4月6日、東京都出身。早稲田大学に在学していた当時、『五体不満足』を執筆して大ヒット。卒業後は小学校の教師のほか、タレント活動や教育活動など多方面で活躍している。昨年10月、小説『車輪の上』(講談社)を上梓した。

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