今年最初のJRAのG1フェブラリーステークスをインティとともに快勝。昨年は手の届かなかったビッグタイトルを、この手にすることができました。一昨年の暮れ、キタサンブラックで挙げた有馬記念以来、1年2か月ぶりとなった勝利の美酒は、これまで手にした75個の勲章とはまた、ちょっと違った味わいがありました。

――予定通りの勝利? すべてが想定内かと聞かれたら、確かにそうです。でも、不安要素がなかったわけではありません。マスコミでは、コーナーが2つの1ターンコースに不安がある。距離1800メートルで連勝してきた馬がマイルに対応できるのか? 左回りは苦手かも? などなど、さまざまなことがマイナス要素として取り上げられていましたが、その疑問に対しては、まったくといっていいほど心配していませんでした。それよりも、初めて経験する芝スタートはどうなのか? 激流必至の差し天国といわれる展開は、どう影響するのか? いつになくパドックでイレ込んでいたインティを見たときは一瞬、黒い翳りがよぎりました。暴走したあげく、自滅するのは嫌だな。それほど、インティはエキサイトしたんです。

 でも、しかし――。レースが始まると、全部、僕の杞憂に終わりました。レース前、勝つことを想定した中で一番多かったのは、逃げにはこだわらない2番手からの競馬です。先手を主張しよう。戦法を変更したのは、スタート直後、隣のサクセスエナジーが行く気を見せなかったのを見極めたうえでの判断です。そして、そこからの競馬は完璧でした。

「前半3ハロンが34秒台になると終いが厳しくなるので、35秒台で行きたい」 パドックで野中先生と話していたように、前半の時計は35秒8。直線を向いて早めのスパートも、大丈夫、押しきれるはずだ。確信があっての決断でした。

■藤田菜七子騎手については?

――えっ、G1初騎乗の藤田菜七子騎手ですか? レース後は、「負けなくてよかった」と言いましたが、あれは本心です。藤田騎手が1着で、僕が2着というのは最悪ですから(苦笑)。でも、彼女は本当に頑張っています。チャンスをつかんだのも自分だし、それにふさわしい騎乗をしていました。今回の騎乗で学んだ、G1で掲示板に載る馬というのは、どんな馬なのか。馬から教えてもらったことが、財産になるはずです。

■皐月賞、日本ダービーに向けてG2弥生賞

 武豊のブレイクはまだまだ続きます。今週末は、春の最大目標である皐月賞、日本ダービーに向けての重要なレースG2弥生賞に参戦します。パートナーは3戦2勝、ディープインパクトを父に持つサトノラディウス。前走500万下の梅花賞は、直線でフラフラするなど、まだ子どもっぽさが抜けずヒヤヒヤする勝ち方でしたが、それだけに伸びしろは十二分にあります。期待していてください。

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