要潤(左)・大谷亮平(右)
要潤(左)・大谷亮平(右)

 安藤サクラ(33)がヒロインの福子を演じる連続テレビ小説まんぷく』(NHK)は最終回までもう少しだが、いまだ視聴率21%超え(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は当たり前! 高い人気を誇っているが、このドラマの人気の秘訣はなんだったのか? 3月9日の放送を振り返り、あらためて『まんぷく』の魅力を考えてみたい。

 新製品の開発に向けて試行錯誤を繰り返す萬平(長谷川博己/42)。ついに新しい麺は完成するが、カップやスープエキスの開発にまるで進展が見られず、いらだちを見せる。このような状況を受け真一(大谷亮平/38)は会社の雰囲気が悪いことを、福子に相談する。その矢先、息子の源(西村元貴/29)は開発チームにいながら、自分は父親の萬平についていけないと弱音を漏らす。その後、福子は萬平と話し、会社での萬平の態度を優しく諭すのだった。

 最近の放送を見て、このドラマが実は朝ドラらしからぬ構造だったことを思い知らされた。実は主要キャストが半年間、変わっていないのだ。番組ホームページに出ている「第1週〜」の主要登場人物と「第23週〜」を見比べると、ほぼ変わらない。いくら親や親戚がちょくちょく顔を出す朝ドラといえど、ここまでキャストが不変なのは珍しい。

 中でも光るのが、福子の義理のお兄さん2人、真一さんと忠彦さん(要潤/38)だろう。まじめすぎるゆえにこっけいな姿も披露する2人だが、ふだんは冷静そのもの。しかし、ときに熱くなることもあり、その際に見せる鋭い眼差しにはぐっときた。

 真一さんは、思い起こせばもともとは福子の姉、咲(内田有紀/43)の夫という、主要キャストとはいえない立ち位置だった。しかし咲が病死してしまうあたりからグイグイその存在感を増し、今では萬平の会社にも福子たち家族にも欠かせない存在だ。塩づくり、信用組合、そしてラーメン会社と、長く萬平に寄り添ってきた真一は、ときに客観的で冷静な意見を述べる、まさにこのドラマの“良心”。暴走しまくる萬平を止めてくれる真一さんの存在は、ドラマに安定感をもたらしていた。

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