「鳥貴族」下方修正も…全国650店舗で、客の胃袋を“鷲掴み”する3つのポイントの画像
画像はイメージです

 焼鳥屋なのに貴族を名乗る、大阪発のチェーン「鳥貴族」の誕生は1985年のこと。いまでは関西、東海、関東の3ブロック、1都2府10県だけで678店舗(19年2月末の段階)を展開する。298円均一(税抜)という明快な会計システム、店舗ごと行なう串打ちへのこだわり……。今回はその快進撃の3つのポイントを改めて紹介したい。

■安さの秘密

 初めての町で鳥貴族を発見するのはけっこう難しい。というのも、多くは地階か空中階にあるからだ。居酒屋が集中する雑居ビルのはるか上を見上げると、黄色に赤の看板が灯っている。それもこれも家賃を抑えるため。

 鳥貴族といえば、2017年10月に280円から298円に値上げこそしたが、均一料金が最大の魅力。もも貴族焼など原価ギリギリの看板メニューで客を引っ張り、スピードメニューで利益を取るというビジネスモデルを当初から構築していた。

 むろん、高コスパのメニューを探りつつ注文する楽しみが客側にはある。そのオーダーもタッチパネル導入が進み、人手不足解消とスタッフの負担軽減を同時に図っている。儲けが取れるお通しを出さないのも創業以来で、欲しくもないものを出すのは理不尽という、大倉社長の原体験に基づく。

 ただ、おかわり自由のキャベツ盛りの人気は高い。その都度、スタッフの手が取られてしまうのを、器を大きくし、回数を減らすなどの経営努力を払ってきた。だから、安くとも儲かるのだ。

■おいしさの秘密

 スケールメリットを生かし、高品質の国産鶏肉を調達するのが鳥貴族のポリシー。串打ちはセントラルキッチンを使わず店内で行なうが、そのために専従スタッフも雇っている。1か月ほど研修を積めば、誰もができるようになるという。だから、朝から夕方まで主婦や外国人のパートがひたすら開店準備に勤しむため、ランチ営業もしないのだ。これが鳥貴族の焼き鳥愛。

「総合居酒屋ではいろんなものを食べられるが、本当に食べたいものはない」と大倉社長も語っているが、焼き鳥一筋の店がそこで同業他社に負けるわけにはいかない。

 ただし、技術の平坦化のため炭火ではなく、一度に30本ほど焼ける専用のグリラーを使用する。タレのみ本社の1階で製造。丸鶏をそのまま使い、野菜やリンゴなどの果物と一緒にじっくり煮込んで作るという。

 ほかのメニューも2014年から「国産国消」に取り組み、おいしさだけでなく、「安心安全」の訴求にも余念がない。結果、最近ではファミリー層やシニア層の顧客も取り込めているという。

■ドリンクの秘密

 実に28年ぶりという2017年10月の値上げも、人件費や求人費の圧迫もあったが、酒税法改正によるビールなどの仕入価格高騰の影響が大きかった。

 しかし昨年3月、鳥貴族は社長が発行済み株式の約2%にあたる20万株をサントリーHD傘下のサントリー酒類に売却。角ハイやジムビームほか、多様なベースを使ってのカクテルやクリアリキュールのZIMAまで楽しめるようにし、アルコールのお得感を打ち出す備えを怠らなかった。

 居酒屋チェーンは各メーカーの出資比率に応じてビールを入れるのが業界の慣習。鳥貴族も実は14年まで、全株の1%を保有するキリンビールと取引してきた。しかし、ザ・プレミアム・モルツが市場に台頭。均一価格での差別化を図れると判断し、サントリーとの関係強化以前に生中のブランドをスイッチしていた。ただ、プレモル独特の香りを嫌う人もいるので、ジョッキサイズ700mlの金麦も提供。どれも原価に50円乗せた程度とお値打ちだ。

 この酒類のバラエティと安さゆえ、チェーン居酒屋嫌いにも、二次会利用などで再発見されているのが、昨今の鳥貴族の実態と言えよう。

あわせて読む:
・究極の「ご当地ラーメン」北海道から沖縄まで、ローカルチェーン店も徹底網羅!
・読めば10倍美味しい!「焼き鳥のヒミツ」50
・ポテチ「うすしお、のりしお、コンソメ」一番愛されている定番テイストは?

EX大衆

大充実グラビア、エンタメ記事満載のEX大衆はここでも読める!dマガジンで読む