■阪神タイガースは巨人と真逆の方針

 一方、オープン戦のスタートから6連敗と苦しい船出となった矢野阪神。12日にナゴヤドームで行われた中日戦で、なんとか初勝利を収めた。「キャンプ後に2軍調整させていた高山俊外野手を即スタメン起用。すると、ドラフト3位ルーキーの木浪聖也内野手が、自身はもちろん、チームでも初の猛打賞となる3安打2打点。彼が開幕ショートをアピールすると、センターを狙う高山も2打席連続タイムリーの大活躍。プラスの相乗効果が働きました」(スポーツ紙阪神担当記者)

 昨季、チーム打率でリーグ5位の貧打に喘いだ打線浮上のカギは、やはり若手の台頭だ。矢野監督は昨シーズンの2軍監督時代、ウエスタン・リーグとファーム選手権でチームを優勝に導いた。

「阪神で“ミスター”といえば掛布氏。彼は金本前監督との確執で2軍監督を追われましたが、代わって指揮を取った矢野氏は、掛布時代に育った選手の活躍で日本一を獲得したんです。代打の切り札として活躍している伊藤隼太外野手に打撃開眼させたのも掛布氏でした」(球団関係者)

 東北福祉大出身の矢野監督は、金本前監督の1年先輩にあたる。金本氏が阪神の監督に就任した際、作戦コーチ(事実上のヘッド)としてベンチ入りしたが、「そのコンビはうまくいかず、むしろ今では、矢野監督は掛布氏の遺伝子を受け継ぐ男という印象がある」(阪神OB)という。それでは、矢野新監督はどんな采配を振るうのか。

「2軍監督時代、ノーサインでどんどん走らせ、盗塁数はリーグ1位の163個を記録。逆に盗塁死もリーグ1位でしたが、矢野監督は失敗しても、けっして選手を叱ることはなかった。放任主義で、のびのび野球をさせていたんです」(前出の阪神担当記者)

 非情に徹する巨人の原監督とは真逆の指導方針だ。「そうはいっても、まさか1軍でノーサインということはないでしょう。そこはバランス感覚に富む捕手出身の監督。長打力が不足しているチームだけに、堅実な野球をしてくるはず」(前出のOB)

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