ねんころりん必至!『ミュージカル刀剣乱舞』“みほとせ”で、マジで綺麗な涙が流れる件の画像
画像は『ミュージカル刀剣乱舞』公式サイトより

 好きなものってありますか。

 突然でしたね、すみません。でも、それがあれば、それに触れていれば、それを摂取していれば幸せって、とっても素敵なことじゃないですか。その対象って、多分なんでもいいんです。

 とは言え「これが好き!」と胸を張って言うことは、大人になった今では意外と難しいことかもしれない。ちなみに私は『刀剣乱舞』にかれこれ4年間、情熱を傾けている。

 ポエマーな切り口だったが、とにかく私に10年ぶりに何かに「ガチで」ハマらせてくれた、そんな刀剣乱舞の話をここではしたいと思う。

『刀剣乱舞-ONLINE-』とは、2015年にサービスが開始され、今や登録者数450万人を誇る人気ブラウザ・スマホアプリゲームである。名だたる刀剣の付喪神である「刀剣男士」を集め、敵と戦うという刀剣育成シミュレーションゲームだ。とまあ、ここまではほぼテンプレである。だいたい紅白にも出たしみんな名前くらいは聞いたことあるだろう。

 この刀剣乱舞、とにかくどの層のオタクも楽しめる。と思う。ゲームにはだいたいの声優が出演しているし、今なお「ミュ(ミュージカル)」や「ステ(舞台)」の新作が控えているし、なんなら“本物の”日本刀を見に旅行がてらの遠征も楽しい。ぜひ全国の〇〇好き、〇〇を愛する者たち、〇〇を憎む者たち、全ての〇〇関係者に伝われ。というやつである。 

 ちなみに私のゲームでの最推しは『加州清光(かしゅうきよみつ)』。言わずと知れた、新撰組・沖田総司の愛刀だ。初期刀を選ぶ画面で、既にゲームを始めていた友人から勧められていた『陸奥守吉行(むつのかみよしゆき・坂本竜馬の愛刀)』と数十分間迷いに迷って、なんとなーく見た目が好みという理由で選んだ。のだが。チュートリアルでの中傷グラと、帰還後の本丸セリフの「こんなにボロボロじゃ、愛されっこないよな……」で沼にドボン。なんともあっけなかった。

(ちなみに加州の好きなところは、過去が重いのにそれに囚われずに気高く在るところとか、しっかり者のところとか、健気なところとか、もういろいろあるのだが、本丸の数だけキャラ解釈もあると思うので割愛する。なんせ初期勢の審神者は、たった数枚のグラフィックで一年近く自家発電してきたのだから)

 そこからは早かった。特に熱中するものもなく暇を持て余していた古のオタクの行動力たるや。グッズを買いあさり、コスプレをし、はじめて2.5次元の舞台を観て、コラボカフェに通い……。日本史なんかまったく興味がなかったのに、推しの刀の展示があると聞けば嬉々として夜行バスの予約を取る。「国内ならもはや通勤感覚」と、以前仲の良いフォロワーさんも言っていたが、フットワークの軽いオタクはこれだから怖い(褒め言葉)。

 ちなみにこれを読んだからと言って、刀剣乱舞にハマらなくても構わない。結局は人でもモノでも食べ物でも無形のものでもなんでもいいから、なにかにハマるって楽しいよー。経済を回してる感あるよー。と、そんな感じでお伝えしたいのがこのコラムだ。

 さて、3月15日から『ミュージカル刀剣乱舞-三百年(みほとせ)の子守唄-』の東京凱旋公演が始まった。刀剣男士たちが時間遡行軍に殺されてしまった徳川家の家臣になりかわり、歴史を元の通りに再現・再生する、という内容で、タイトルの「三百年(みほとせ)」とはまさに徳川家康が礎を築いた江戸時代のことを指している。

 再演ということもあり東京公演の段階からかなり仕上がっていた本作。セリフの代わりに、とにかく殺陣が増えたという印象だ。公演ごとの小さな進化や変化を観るのも楽しみの1つだが、コミカルな箇所の多かった大阪・京都公演とはまた違って、凱旋ではさらに滋味深い公演となっていたように思う。特に、初演しか観てない人、お願い、ライビュでいいから、観て……。ラスト近くの初演とは違う村正(太田基裕・32)の演出には鳥肌。

 あとはまあ当たり前だけど音が全然違う。初演のアイアの臨場感と距離感に個人的にはまだ夢を見ている(もうあのときには戻れない……)が、どうやってもアイアの音割れや音漏れはひどかった。なんなら当時、キャン待ち抽選が外れた後、会場外でグッズ交換をしていたら2部のライブが漏れ聞こえていた。ちょっとラッキーとか思ってた。

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