牛丼大手ゼンショー傘下だけに肉は上質
2年の試行錯誤を経て、第1号店を新松戸店にオープンさせたのが86年なので、まだ昭和の御代。現在の和食ファミのロールモデルと呼べる店だ。店名の由来となったのも、文政年間の両国で、握り寿司の始祖とされた実在の人物である。寿司にワサビを使ったのは、この華屋こと小泉与兵衛が最初なのだ。
この命名から分かるように、こちらも最初は寿司志向だった。というのも、当時は回転寿司が日の出の勢い。和食を標榜する以上、寿司が食べられなければ――という想いは、各店ともにあった。しかし、肉をしっかり食わせねば、どこも立ち行かなくなったのだ。
さて、華屋与兵衛のしゃぶは120分で豚・牛豚・黒毛和牛とコースが分かれ、ベーシックがそれぞれ2180円、2680円、3980円。500円安いシニア料金の設定もある。黒毛といきたいところだが、ひとまず他店同様、牛豚を試すと、国産と明記はしてある牛ロースが悪くない。
食べるにつれ、豚が旨いと感じ出すが、この牛の安定感に母体はいまやゼンショーという事実を味わう。それを言えば、吉野家系のしゃぶ専、どん亭でも同じ肉への安心感は抱いた。ただ、決定的に弱いのが単品メニュー。第一、数が少ない。茶碗蒸し、サーモンのお造り、焼鳥ともプレミアムにするメリットは感じなかった。「食後の小甘味」もひとり1品の選択制なので、どうしてもデザートが欲しい甘党でなければ、これはカットでよいだろう。
しかし、飲み放題は通常1600円だが、しゃぶ放にすると、1200円と良心的。瓶ビール(それもアサヒの豊穣)も含まれるので、お得感がある。日本酒は月桂冠と標準だが、焼酎は麦がいいちこ深薫、芋が黒霧島なので、それらを交互に楽しんだ。
【華屋与兵衛】
黒毛和牛コース【120分】
ベーシック3980円
プレミアム4480円
牛豚コース【120分】
ベーシック2680円
プレミアム3180円
豚コース【120分】
ベーシック2180円
プレミアム2680円
飲み放題【120分】1200円
※この記事は、雑誌「EX大衆」2019年3月号を元に作成しました。
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