■餃子はスーパーフード!

 栃木県の長寿1位・宇都宮市と静岡県の長寿2位・浜松市には“餃子都市”という共通点がある。両市は餃子の年間消費量を争っているのだ。「餃子は“スーパーフード”です。肉のタンパク質と脂質、野菜のビタミンとミネラル、そこに皮の炭水化物もあり、バランスがよい食品。さらに、ニラとニンニクに含まれているアリシンには殺菌作用があり、豚肉に含まれるビタミンB1と、食べると疲労回復につながります」(栄養士)

 東京都の長寿1位の世田谷区と、ワースト1位の足立区は対照的だ。前出の秋津壽男院長が言う。「長寿と所得はリンクしていて、健康にお金をかけられる人が多い地域ほど長生きしている人が多いんです。健康によいものを食べようとするとお金がかかるし、安くすませようと思うとジャンクフードになってしまう。所得が高い人のほうが、人間ドックに行く回数も多くなりますしね」

 北陸地方の長寿1位都市に関しては、東洋経済新報社が全国の都市を対象に毎年公表している「住みよさランキング」が興味深い。2位に富山県の南砺市(長寿2位)、5位に石川県の野々市市(長寿1位)、7位に福井県の鯖江市(長寿1位)がランクインしているからだ。

「富山県の南砺市は住宅面積が全国1位ということもあって、都会からの移住者が増えています。自然豊かでありながら、金沢市へのアクセスも便利なので、Iターン希望者にとって理想的な土地なんです」(地元不動産関係者)

 平均寿命で全国トップに大化けしたのが、長野県だ。前出の矢野氏は、「真面目な県民性が平均寿命の高さに影響している」と分析し、こう続ける。「長野では、野沢菜などを頻繁に食べることが塩分摂取量の高さにつながり、1960年頃から脳卒中による死亡者が急増しました。これを受けて、80年頃から保健補導員や食生活改善推進員たちが各家庭を訪ねて、啓発活動に励んだんです」

 また、高齢者の就業率、公民館数、博物館数、ボランティア参加率、旅行に行く人の割合で、長野県はすべて全国10位以内に入っており、高齢者にとって「生きがい」が多い県なのだ。「長寿にはコミュニケーションが大いに影響しています。区民センターのように高齢者が集まることができる施設が多い地域は、平均寿命が高い傾向にあるんです」(前出の秋津院長)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4