■名古屋市は愛知県の短命ワースト1位

 岐阜県の長寿1位である可児市は名古屋市から約30キロの距離にあるため、ベッドタウンとして発展している町だ。一方、その名古屋市は愛知県の短命ワースト1位。手羽先、味噌煮込みうどん、きしめん、味噌カツ、天むすといった塩分多めの“なごやめし”が原因とする説が有力だ。「一般に県庁所在地は健康意識が高い人が多いはずなのですが、名古屋市は異なるようです。また“なごやめし”は見た目が茶色で味が濃いので、塩分の多さは否めません」(矢野氏)

 名古屋市民の“車好き”も、短命ワーストの理由の一つだという。「トヨタの城下町ということもあって、一家に1台ではなく、一人1台所有しており、近所のコンビニでも車で行くんです。 名古屋から東京に転勤した人が電車通勤にしたら、体重が5キロ減った、なんていう話も聞きました」(秋津院長)

 滋賀県は長野県と並んで長寿県第1位。スポーツの年間行動率が全国4位で、スポーツジムに通うなど、活動的な高齢者が多いのも特徴的だ。滋賀県の長寿の理由には、名物「鮒寿司」の存在も挙げられる。「鮒寿司は、昔は“薬代わり”にもなっていた健康食品です。豊富に含まれる乳酸菌が整腸作用を高めて、長寿につながったのでしょう」(前出の栄養士)

 大阪の長寿ベスト1である吹田市は、SUUMOの「住みたい街ランキング2017」で7位に入っている。京都や奈良、兵庫と大阪以外へのアクセスも充実しており、公園やスーパー、病院や学校などの施設も多く、住環境が整っている。一方で、短命ワースト1の大阪市は「名古屋市同様に味つけの濃い料理が健康に悪影響を及ぼしていると思われます」(矢野氏)と振るわない。

 “因幡の白ウサギ”の伝承でおなじみの島根県出雲市は、名産品のモロヘイヤが効いている。モロヘイヤは「不老長寿」の異名を持つほど栄養価が高い。

 また、広島県の長寿トップである廿日市市は、県内の牡蠣の約16~17%が生産されている。「長寿」と「食」は切っても切れない関係のようだ。

 香川県三木町の特産品は希少糖。希少糖は血糖値の上昇や脂肪の蓄積を抑制してくれる食品だが、まだ、県全体にまで浸透しているとは言い難い。「香川県は08年に糖尿病全国ワースト1位というデータが出たのですが、県を挙げて糖尿病対策に取り組んだことで改善されました。現在も県民の健康づくりの推進に積極的で、今後、長寿県になる可能性が高いと思います」(矢野氏)

 秋津院長は、移住先として高知県を勧める。「高知県は温暖であり、日本で一番医者の人口密度が高く、病院の率も日本一です。それだけ医療レベルも高いといえます」

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