足の疾患や不調に特化した医療機関『足のクリニック 表参道』には外反母趾や巻き爪はむろん、扁平足障害や足のしびれなど、足の不具合を訴える初診患者が年間6000人も訪れるという。同クリニックの桑原靖院長が、こう説明する。「足の疾患の根本的な原因のほとんどは“足の骨格構造が崩れてしまうため”です。体の土台であり、歩行に不可欠な足には、骨と骨をつなぎ止める靭帯や筋肉が数多く存在します。これらが正しい位置に保たれていれば足のトラブルも起きないんですが、荷重がかかり、足の形が崩れることで、痛みや変形といった症状が出てしまいます」
足の疾患の原因の一つが「合わない靴」なのだが、いい靴選びのポイントは足の長さと幅に、しっかりとフィットしたものを選ぶことに尽きる。前出の木村氏によると、靴のサイズはメーカーによっても微妙に違い、同じ25.5センチでも、革靴とスニーカーでは長さが違うという。
「自分の足のサイズを盲信して靴選びをすると、足に合わないことが多いんです。我々のようなシューフィッターがいる靴店で買うのが一番なんですが、それができない場合は、購入時に両足とも履いてみて、ちょっと歩いてみるといいでしょう」(木村氏)
桑原院長は、靴の甲の中ほどの部分に、しなりがあるものを選ぶことを勧めている。歩くときは、踵から着地して足の指で蹴り出す。蹴り出すときに、靴の中で足の指が可動できるほうが歩きやすく、疲れにくい。また、靴底がフラットな靴より、踵と爪先の高低差が5〜10ミリ程度ある靴が望ましいという。「踏み返し時間が短くなるため、前に進む動きに対して機能が上がるんです」(桑原院長)
最近は「中高年向きの軽い靴」を売りにする軽量靴も出回っている。これもマイナス面がある。「軽くするために、靴底の堅い部分(シャンク)を抜いてあることがあるんです。この部分がないと、体重を支えたり蹴り出しを補助することができず、歩きにくくなります」(木村氏)
中高年は軽い靴より、爪先が少し上がり気味の靴を選んだほうがいい。50歳を超えると歩くときに足が上がらなくなるため、蹴つまずくことが多くなる。爪先が上がっている靴は、この蹴つまずきを防いでくれる。
木村氏によると、「靴を足にぴったりとフィットさせるためには、靴を履くときに靴紐をしっかり結ぶことも大切」だという。足にフィットする靴は歩きやすく疲れにくい。中高年の靴選びはデザインや色より、履き心地や歩き心地で選ぶ。これが、いつまでも元気に歩けるコツと言えそうだ。
現在発売中の『週刊大衆』4月15日号では、この他にも、“60歳からを楽しめる大人の娯楽”を大特集。体に合った靴を履いて、出かけてみてはいかがだろうか。