■第三次世界大戦の末、東京五輪が中止

 今回、監督が選んだ舞台は、第三次世界大戦勃発の末、東京五輪が中止となった日本。そのためピエール瀧の事件前から、一部メディアでは「公開中止か」と報じられていたほどだった。

――五輪中止や戦争など、センシティブな題材かと思います。

白石 だって、企画が上がってきたときにちょうど、トランプ大統領が金正恩氏に対してSNS上で「ロケットマン!」とつぶやき、正恩氏が反応するようにミサイルを撃ち、日本ではJアラートが鳴り響き……という時期でしたからね。国の元首がSNS上で喧嘩するなんて考えられないし、それは映画で揶揄しちゃっていいのではと。そういうことって、思いついても普通はたいてい却下されるんですよね。でも今回は、それを含めてすべてOKで。プロデューサーとともに当初から「エッジの効いた映画にしたい」という思いがありましたしね。

■麻雀をオリンピック種目に

――そんな内容にもかかわらず、今年1月31日に国会議員を対象にした試写会を行っていますよね。

白石 近年、麻雀は、過去のダークなイメージを捨て、頭脳スポーツとして新たに五輪種目に引き上げようとするなどの動きがあるんです。“健全な麻雀”を推進する議員連盟もあるほどで。そんなとき、ちょうど僕らがこの映画を作ったことで、「ぜひ一緒に、麻雀の世界を盛り上げたい」と声をかけていただき実現しました。

 そうしたら、この映画はイカサマと博打にまみれているし、五輪中止だし。議員の方々は、「これは、ちょっと……」なんて半笑いでした(笑)。

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