安藤サクラ
安藤サクラ

 4月スタートの『なつぞら』で、NHKの連続テレビ小説は100作になる。この『なつぞら』は人気女優、広瀬すず(20)の主演で話題だが、この作品が盛り上がりを見せるほどに前作『まんぷく』の偉大さや、ヒロインを務めた安藤サクラ(33)のスゴさを痛感する。まずは3月30日、最終回の放送を振り返ってみよう。

 福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己/42)は、歩行者天国でまんぷくヌードルを売る作戦に打って出る。これが成功して若者が飛びつき、まんぷくヌードルは全国的にヒット。福子と萬平は、世界の麺を探求する旅へ出かけるのだった。

 回想シーンも多く、感動的な最終回だった。なにより福子と萬平夫妻が、前向きに未来を見続ける姿勢にグッときた。半年間の放送の総決算に、ふさわしかったのではないだろうか。 

 この作品、ヒロインを務めた安藤サクラの演技が圧倒的に光っていたが、過去のヒロインと比べても、その存在感は異質だった。

『まんぷく』はオーディションなしで30代の安藤サクラを主人公に指名したが、すでにキャリア10年以上の有名女優だっただけに、朝ドラヒロインとしてのインパクトは大きかった。主人公が年齢を重ねる姿が描かれる朝ドラの中でも、もっとも違和感がなくおばさんになったヒロインといえるだろう。そのおかげで半年間、安心してドラマを楽しむことができたのだが、彼女はまだ33歳。それが50代の福子を堂々と演じていたのだから、その演技力の高さには驚くしかない。

 また安藤サクラが朝ドラ初の“ママヒロイン”だったことにも、触れておきたい。実生活で子育て中ということも演技に活かされたはずだ。本作は日清食品の創業者夫妻がモデル。お仕事ドラマになりそうでならず最後までホームドラマであり続けたのは、妻であり母である、安藤の愛あふれる芝居のおかげだろう。

 実は『なつぞら』のヒロイン発表は、99作目の『まんぷく』よりも先だった。朝ドラはNHKの東京放送局と大阪放送局が交互で制作しているため、東京制作の『なつぞら』が、人気女優である広瀬すずをヒロインに据えたことは、大阪放送局を大いに刺激したはずだ。

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