■人気ドラマ『相棒』にも出演

 一方、水谷豊はトラブルやスキャンダルとは無縁の俳優生活を送った。映画『青春の殺人者』(76年)など、不良性のある役で高評価を受けるが、78年に『熱中時代』(日本テレビ系)の教師役でアウトロー路線から脱却する。

 低迷期もあったが、その間も、2時間ドラマで刑事などを演じた。そして、その延長線上に、『相棒』(テレビ朝日系)があった。水谷は、取材を受けるたびに、こう発言している。「今、何ができるのか、何をやるのがベストなのかを考えて、ずっとやってきた」

 私生活では、一度結婚に失敗しているが、89年の再婚後はずっと妻一筋。テレビ出演時、愛妻である女優の伊藤蘭を、なんと呼んでいるのかを問われ、照れくさそうに答えた。「僕は……“ランさん”と呼んでいます」

 片やショーケンも、頭に白いものが混じるようになると、プレイボーイを卒業。11年に冨田と結婚した際は、「ジェットコースターのような人生だったけども、今後は2人でメリーゴーランドのような、ゆっくりした人生を歩みたい」とコメントした。そして、実際に夫婦仲良く、穏やかに暮らしていたようだ。

 俳優としては、円熟期を迎えた。逮捕による休業期間を経て、09年に出演した映画『TAJOMARU』で男優賞を受賞したときは、こんな発言をしている。「悪いことばかりやってたんですけど、こうやって賞をいただけると本当にうれしいです。今年還暦になるんで、これを機に一本一本丹念に、丁寧に、仕事をやっていきたいと思います」

 そして、最後の作品となったNHK大河ドラマいだてん』まで、演じることに心血を注ぎ続けた。いろいろな面で厄介な俳優ではあったが、出演オファーは途切れなかった。「実は2000年代終わりに、『傷だらけ~』のリメイク映画の企画が水面下で進んでいました。それと前後して、ショーケンと水谷豊は再会し、メシを食ったといいます」(映画関係者)

 同じ頃、テレビの企画で、水谷が“アニキ”にメッセージを送っている。「健康で、元気でいれば、いつかまたご一緒できることがあるかもしれませんし、僕も気をつけますが、アニキも特に体に気をつけて」

 だが、稀代のアウトローの身体は病に蝕まれていた。4月4日にはNHKで追悼番組が放送され、「嫁をもらって、スキャンダル的なゴシップでばかり騒がして、(妻を)幸せにできなかったとしたら、どうかと思うんですよ」という、最後の妻・冨田リカさんを守ろうというショーケン節での“遺言”が明らかになった。名優の冥福を祈りたい。

●萩原健一 1950年7月26日、埼玉県生まれ。17歳のときにザ・テンプターズのボーカルとしてデビュー。解散後は沢田研二らとPYGとしても活動。俳優転向後は、『太陽にほえろ!』『傷だらけの天使』『前略おふくろ様』のほかに、映画『約束』『八つ墓村』『影武者』『誘拐報道』『恋文』『226』『竜馬を斬った男』『いつかギラギラする日』『居酒屋ゆうれい』、テレビドラマ『課長サンの厄年』『外科医柊又三郎』などに出演。私生活では4度の結婚歴と逮捕歴あり。2019年3月にGIST(消化管間質腫瘍)のため68歳で死去。

●水谷豊 1952年7月14日、北海道生まれ。13歳のときに劇団ひまわり入り。テレビドラマ『バンパイヤ』でデビュー。『傷だらけの天使』出演後、映画『青春の殺人者』での演技で高い評価を得る。以後、『男たちの旅路』『熱中時代』『あんちゃん』『事件記者チャボ!』『刑事貴族』『相棒』など数々のテレビドラマに主演。妻は元キャンディーズの伊藤蘭。12年には映画『少年H』で28年ぶりに夫婦共演。17年に映画『TAP THE LAST SHOW』で監督デビュー。歌手として『カリフォルニア・コネクション』などのヒット曲あり。

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