日本一有名な二世タレントの石原良純(57)と長嶋一茂(53)。彼らがただの二世タレントでは終わらず、ここまでお茶の間に愛されるのには、意外な秘密があった? 今回は、二人の人気のワケを、作家でライターのラリー遠田が語った。
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良純さんは80年代からずっと、一茂さんも88年のプロ入りから注目され、97年にタレント転向されてからもずっと、テレビの中にいて当たり前の存在でしたが、この数年の二世タレントブームで “元祖二世”とも言うべきお2人にスポットが当たりやすくなりました。
そして、改めて、お2人のことを見てみたら、「やっぱり面白いぞ」と再評価されているのが、現在の2人の状況でしょう。
多くの二世タレントは、有名なご両親の意外な素顔や、庶民感覚から大きくはずれたお金持ちお坊ちゃんエピソードを持ちネタに、テレビの世界に飛び込んできます。それは確かに面白いのですが、実は、面白いのは、ご本人でなくご両親ですから、持ちネタをひと通り披露し終えたら、もはや、タレントとしての面白味はほとんどないため、静かに消えていってしまいます。
しかし、お2人は、ご両親ネタとは関係なく、ご本人自身が、なんか変で面白いため、いつ見てもそのズレが新鮮で、見る人を飽きさせることがありません。
しかも、何年もバラエティ番組の第一線で活躍をしていれば、普通なら、慣れてきて、空気を読んでうまく立ち回ろうとしたりしてしまいそうなものなのですが、2人にはそんな様子がなく、常に自然体で変わりがありません。言ってしまえば、テレビタレントとしてうまくなろうという上昇志向がないし、誰かを蹴落としてでも目立とういうようなガツガツしたところもない。
これは、お坊ちゃん育ちが故のゆとりとも言えるかもしれませんが、いつまで経っても素人のようなリアクション、それを言っちゃいけないんじゃないかなというコメントで番組に波風を立て、盛り上げてしまう。
テレビの世界において、何が飛び出すか分からない素人ほど面白い存在はありませんが、つまり、このお2人は、これだけテレビに出続けているのに、ある意味、ずっと素人のままなのです。バラエティの世界では最強です。
良純さんは役者、一茂さんはプロ野球選手としてキャリアをスタートさせましたが、紆余曲折を経て、2人は、自分たちの個性が最もいきる世界を見つけたのです。
※『EX大衆』2018年9月号より
ラリー遠田(らりーとおだ)。1979年生まれ、愛知県出身。作家・ライター/お笑い評論家/行政書士。株式会社シンプルトーク代表取締役。『AERA dot.』『日経ウーマンオンライン』などで連載。
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