内村光良(ウッチャンナンチャン)
内村光良(ウッチャンナンチャン)

『内村プロデュース』や、『イロモネア』などで確実に爪あとを残し、いまやお茶の間の人気者となったずんの飯尾和樹。1968年、東京都出身。お笑いコンビ・ずんのボケ担当。ロケもひな壇も大喜利も全部面白い。そんな彼が語る、大先輩であるウッチャンナンチャンの背中。飯尾は彼らをどう見ていた?

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――飯尾さんが芸人としてデビューした頃、ウンナンさんが売れ始めました。

飯尾 ゴールデンで冠番組を始めようという時期でしたね。その頃はネタ見せに行くと、ウンナンさん風味のショートコントをやっている若手芸人ばかりだったんです。

――『カボスケ』で初めてウンナンさんと共演したんですよね。

飯尾 同期のキャイ~ンが僕の名前を出してくれていたので、ウンナンさんのほうから「話は聞いてるよ」と言っていただいたんです。キャッチフレーズは「キャイ~ンの親友」でしたから(笑)。

――キャイ~ンさんは『ウリナリ‼』でウンナンさんとより密接に仕事をするようになります。

飯尾 その頃、僕はLa.おかきを解散してひとりになっていたんです。同じ年齢の野茂がジャースブルーのユニフォームに袖を通した時、僕は引っ越しのバイトでブルーのつなぎを着ていましたから。人生の歩幅は人それぞれだなと思いましたね。

 ドーバー海峡横断部の練習後のご飯に誘われて、なぜか部外者の僕がしゃぶしゃぶを食べたこともありました。どさくさに紛れて栄養を摂るという(笑)。そこで内村さんに「飯尾はひとりで頑張るのか?」と声を掛けてもらったことが励みになりました。

 ウドが運転して、後部座席に内村さん、僕は助手席というドライブ旅行をしたこともあって。内村さんがチャーハン好きなので、街の中華屋さんに寄ったんです。チャーハンと生姜焼きを頼んで、お腹がパンパンに膨れるほど食べた後で、店主が「いつも観てます。頑張ってください」とコーラを1本ずつくれたんです。

 お腹がいっぱいのときのコーラってキツいんですけど、店主がなかなか席を外さないもんだから、内村さんは一気に飲み干して。「美味しかったです」と言ったところで、ウドが「師匠、好きですねぇ」と自分のビンに入ったコーラを内村さんのグラスに注ごうとするんですよ。それを内村さんが「鈴木くん、鈴木くん」と窘めるという(笑)。

――ずん結成後、飯尾さんは『内村プロデュース』で活躍します。

飯尾 有吉くんの抗争相手として嵯峨根さんと僕を呼んでいただいたことが最初でしたね。『内P』では「スベってから考える」ことを教わりました。20代の頃はスベったら後がないと思っていたけど、『内P』は周りのメンバーやテロップで面白くしてくれるから果敢に発言できたんです。そのうえ、収録後の飲み会で「あれはウケたからもう1回いけたんじゃないか」「こうすればウケたんじゃないか」と内村さんやさまぁ~ずさんからアドバイスをいただける。とはいえ、スベった日はシャワーを浴びていると、ふと思い出して「アッ!」と変な声が出るような時もありましたけどね(笑)。

――『イロモネア』にも出演されました。

飯尾 正直、お客さんを見ていませんでした。ただただウンナンさんを笑わせたいと思っていたんです。お2人からは「まかないの味」と言われてましたから。寿司屋のカレーみたいな。早くメニューに載せてほしいと思ってましたけど(笑)。

――現実逃避シリーズは『イロモネア』から生まれたそうですね。

飯尾 以前から頭の中にはあったんですけど、時間が余ってしまったので「ここでやろう」と。最低のネタですよね(笑)。「あ~あ、なんでも10円で買えたらなぁ」なんて中年が言い出したらおしまいですよ。

――だからこその面白さだと思います。

飯尾 「俺たちのほうがマシだ」と思って笑ってほしいです(笑)。

――内村さんの初監督作品『ピーナッツ』に飯尾さんも出演されてますよね。

飯尾 よく覚えているのが土砂降りの翌日にあったロケで。場所は厚木の山奥のグラウンドだったんですけど、スタッフがトンボで整備していたんです。「演者さんは裏で待機していてください」と言われていたんですけど、そこにいたはずの内村さんがいつの間にか整備しているスタッフに加わっていて驚きました。普通だったら手伝うにしても僕たちを誘うじゃないですか。こんなふうに内村さんはいつも背中で語ってくれるんです。

――いま『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)を観ていると、誰かがスベった時に飯尾さんがスッと現れて笑いに変える場面が多いですよね。

飯尾 いやいやいや、おこがましいです。記憶がなくなるくらい厳しい現場で、助け船を出したつもりが一緒に溺れていますから(笑)。ただ、「スベってから考えろ」という教えはずっと守っています。

――現在、お笑い界にしっかり地位を確立した飯尾さんは、売れる前からお世話になっていたウンナンさんに恩返しできたという想いはありますか?

飯尾 いやいやいやいや、まだ何も返せていないですよ。内村さんが本気で面白いと感じた時の笑い方をマネできるようになったくらいで。内村さん、「ア、ハ」って笑うんですよ(笑)

※『EX大衆』2018年9月号より

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