令和に元号が改まるが、いったいどんな時代になるのか?「令和は昭和や平成とは、まったく異なる時代。個人も新たなサバイバル能力が要求される」転職サイトを運営する幹部スタッフは、こう断言する――。
〈日本人なあ…大多数はきらいだね。情けねえ、というかね。一個でも飛びぬけた、いいものがないっていうか、そういう感じかな。そこそこのやつって、大嫌いなんです〉(『コマネチ!~ビートたけし全記録~』以下引用はすべて同書)
中途半端が嫌い。そんなたけしの想いは、“日本人”に対しても同じだ。
「優秀なら優秀、ばかならばか、金持ちなら金持ち、貧乏なら貧乏、はっきりしてくれっていうの。そこそこのやつって、フリばっかりで過ごしちゃう。そんなのが日本人の大多数だからなあ」
“一億総中流階級”などと言われて久しいが、我々日本人の大部分に共通しているのが“自分はそこそこ”という考えだろう。金持ちでもなければ貧乏でもない。飛びぬけて優秀でもなければとんでもなくバカでもない。35年ローンでそこそこの広さの家に住み、1時間半かけて電車に揺られてそこそこの会社に行き、そこそこの給料を貰って、そこそこの仕事をして帰ってくる。女房に小言を言われながらも、「自分の人生はこんなもんだ」となんとなく納得し、幸せな“フリ”して生きている。たとえそこで、今の自分に不満を感じたとしても、思いきって今の生活を変えようとは思わない。結局“これでいいんだ”と納得したフリして生きていく。
そんなふうに社会と自分を摺り合わせているような小市民的な日本人の生き方をたけしは「情けない」と言う。「そこそこのヤツは大嫌いだ」と言う。そんな世の中からは良い感性も育たないし、何一つ新しいものなど生まれてはこないという。
一億みんな小市民。人気のラーメン屋に行列ができればみんなそこに並んで食べようとする。あのブランドが人気だとなれば、みんなそのブランドのファッションを身につける。すべてが“右向け右”な連中ばかり。中流という枠の中で生きるのが心地いいと知らず知らずのうちに植えつけられた日本人は決してその枠からはみ出そうとはしない。そんな日本人にたけしは強烈なひと言を放つ。
「日本人が嫌い」
たけしの言葉は、牙を抜かれた我々日本人への強烈な警鐘なのかもしれない。
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