■消費税10%の増税で

 こうした深刻な事態の中、秋に消費税が8%から10%へ増税されるのだからたまったものではないが、“そのとき”に、増税2%分だけではない負担が生じる可能性がある。それが、「便乗値上げ」だ。これは、増税に便乗して値上げしてしまうというもの、2014年4月1日に消費税が5%から8%に増税された際も、そこかしこで見られた悪魔の所業なのである。

 経済アナリストの松原義和氏は、この秋に予想される便乗値上げについて、「その確率が最も高い業種の筆頭が外食産業」であるとして、こう続ける。「ご存じのように、スーパーなどで買う食料品やテイクアウトの食品が8%に据え置かれる一方、飲食店で食べた場合は増税分を負担することになります。従来からの人件費高騰などで店側が2%を負担するのは無理。各種調査でも消費税導入を機に値上げを検討しているという回答が6割以上に及んでいます。前回の増税時には6割強もの店が便乗値上げしているんです」

 松原氏によると、過去に、『吉野家』の「牛丼並」は7%、『てんや』の「海鮮かき揚げ天丼」が10%、『すき家』の「とん汁からあげセット」は20%以上も値上げしたという。

「便乗値上げの“割合”のすごさでいえば、自動販売機の缶コーヒー。昔は100円でしたが、消費税のアップごとに10円ずつ値上げし、現在は130円。3割も上がっているわけです。110円にしたときは自動販売機では1円玉を扱えないからと言い訳していましたが、ここまでくると、ぼったくり。これまでの傾向からみると、今回の増税で140円になる可能性だってあります」(前同)

 自販機といえば、昨年10月に値上げしたばかりのタバコも便乗値上げが噂されているという。

 日用品でも進んでいる“実質値上げ”。しかも、一部メーカーは公表することなく内容量を減らしているから、気づかない人も多いはず。特に乳製品ではその流れが顕著で、多くの商品で内容量が著しく減少している。

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