■『平清盛』はイケメンぞろいでもダメだった!

 また『花燃ゆ』は“イケメン大河”と呼ばれ、俳優推しだったこともマイナスに働いた。伊勢谷友介大沢たかお高良健吾をそろえ、当時のプロデューサーは、女性たちに見てもらうためにイケメン俳優たちをキャスティングしたとコメント。しかしこれには「視聴者を甘く見るな」と、批判の声が上がった。

 あらためて、最低視聴率を更新した『いだてん』に戻ろう。まず大河で取り上げることが極端に少なかった“明治から昭和”という時代設定は、やはりマイナスだろう。そして金栗四三、田畑政治という、よほどのスポーツマニアでないと知らない人物が主人公なのも、低視聴率につながっている。時代設定に主要人物、上記した2つの低視聴率大河の悪いところを、ダブルで取ってしまったかたちだ。

 加えて物語をすすめる語りが落語家の古今亭志ん生なのだが、これが若き日の美濃部孝蔵も語りをやっていて、2パターンあるのだ。主人公の金栗、田畑、それに語りの志ん生と孝蔵、物語の軸になる人物が4人もいるため、見ているほうは混乱するばかり。歴史ドラマを見たい大河ファンからすれば「興味のない時代」の「知らない人」の話を、「分かりにくい構成」で見せられているというわけだ。なるほど、視聴率が低いのもうなずける。

 もはや時代も主人公も変えられないわけだが、救いなのは『いだてん』の後半に有名オリンピック選手が登場する予定だということ。知名度がある人物が出ると、少しは大河らしくなるだろう。ぜひ、今後のV字回復を期待したいものだ。(ドラマライター・半澤則吉)

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