窪田正孝
窪田正孝

 大小さまざまな事務所がある芸能界。2大巨頭と言われるバーニング系事務所、ジャニーズ事務所のほかにも、各社さまざまなポリシーを打ち出し、独自の経営を行っている。中でも、近年ブレイク俳優を多数輩出し、勢いを増す事務所がある。

 それは、ファンから「スタダ」という愛称で親しまれているスターダストプロモーションだ。所属タレントの多くは俳優の主戦場であるドラマ・映画の仕事に専念させる手法をとっており、お笑い芸人やバラエティにも積極的に進出するマルチタレントを多数擁する吉本興業、ホリプロ、ナベプロら他の大手事務所とは、その点において一線を画している。

 同事務所には映画主演級の常盤貴子竹内結子柴咲コウ北川景子ら豪華女優陣のほか、内野聖陽渡部篤郎椎名桔平といったベテラン俳優も在籍。さらにはカメレオン俳優として名高い山田孝之、売れっ子の山崎賢人らが所属しており、実に多彩な顔ぶれをそろえている。

 中でも注目は、若手から中堅俳優が多数所属する「制作3部」。ここには現在放送中の月9ドラマ『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)で主演を務めるほか、2020年前期の朝ドラ主演も控える窪田正孝、『おっさんずラブ』からの『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(ともにテレビ朝日系)で幅広い層に人気を広げた林遣都、一時の低迷から朝ドラ『まれ』(NHK)以降、見事に復活を遂げた柳楽優弥と、旬の演技派アラサー俳優がズラリ。

 彼らに共通するのは、浮ついたところのない“職人気質の俳優”ということだ。窪田は、スカウト組が多数を占める同事務所の中では珍しく、オーディションから今の地位まで上り詰めた苦労人。林も『おっさんず』で再注目されるまでは、長い停滞期があった。柳楽にしても、史上最年少でカンヌ主演男優賞を受賞した後、仕事がなくなりバイトに精を出す開店休業状態に。その実力が改めて評価されたのは、ここ数年のことだ。彼らの役に向き合う真摯な姿勢は、これらの苦汁をなめた経験からくるものだろう。

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