堺雅人
堺雅人

 ドラマ『半沢直樹』(TBS系)の続編が放送されることが決定し、話題となっている。なんと7年ぶりの続編ということで『半沢直樹』ファン、堺雅人ファンにはなんともうれしいニュースとなった。

『半沢直樹』は最終回の瞬間最高視聴率が、関西地区で50.4%(ビデオリサーチ調べ)という、歴史的な記録を残したドラマだ。それだけに期待も大きいが、本当に続編も成功するかは微妙なところ。というのも実は半沢直樹(堺雅人)の最強の敵、大和田暁(香川照之)が登場しない可能性が高いのだ。

 2020年に放送される続編は池井戸潤の『半沢直樹シリーズ』(文藝春秋ほか)が原作。その第3作目『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社)以降の話が展開される見込みだが、これは半沢直樹が東京中央銀行の子会社、東京セントラル証券に出向してからの話で、原作に大和田は登場しないのだ。そうなると敵役の大和田として怪演を見せ、ドラマの魅力を高めてきた香川照之の姿が見られる可能性は低い。そのうえ原作には家族のエピソードがほとんどなく、妻の花を演じる上戸彩の登場シーンもあまりないのでは、という懸念もある。

 続編ドラマはストーリーも大事だが、キャスト選びも肝になる。6月20日に最終回を迎えた『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)が良い例だ。これは竹内結子の主演で人気を博した『ストロベリーナイト』のリメイク版だが、二階堂ふみが主演の今回は思いのほか視聴率が伸び悩み、平均で6%台(ビデオリサーチ調べ/関東地区)という低空飛行に終わった。以前のファンが見たいのは自分が好きだったドラマ、つまり当時のキャストであって、主要キャストが変更されてしまっては視聴者が離れてしまうのだ。そうなると香川照之の出番が少ない、あるいはない『半沢直樹』は危険なドラマになりそうだ。

 実は最近、過去にヒットしたドラマの続編が増えている。06年にヒットした阿部寛主演の『結婚できない男』や、こちらは単発ながら山田涼介主演で人気を博した『もみ消して冬』(日本テレビ系)の続編の放送が発表されている。一定のファンがすでにいる作品は、新しい作品で勝負するより数字が見込めることから、続編に期待しているのだろう。

 テレビ全体の視聴率が伸び悩む中、制作に時間も金もかかるドラマは、特に厳しい状況に追い込まれている。少しでも見られる可能性が高い作品を放送したいのは当然ではあるが、続編といえど、必ずしも手堅くないことは忘れないほうがいい。

 いずれにせよオリンピック直前、なにやら国民全体が盛り上がりそうな来年4月に、半沢直樹が帰ってくる。倍返しがうまくできるかは、そのキャスティングにかかっている。香川照之の不在をフォローできるような、大物俳優、女優のキャスティングを期待したい。(ドラマライター・半澤則吉)

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