内村光良(ウッチャンナンチャン)
内村光良(ウッチャンナンチャン)

 第100作目ということもあり、連続テレビ小説なつぞら』(NHK)は、とにかくキャストが豪華。ヒロインに広瀬すずを迎え、松嶋菜々子山口智子貫地谷しほりといった過去の朝ドラヒロイン女優も続々登場中だ。『なつぞら』だけでなく、朝ドラは毎回、キャストに注目が集まるが、力が入っているのはそれだけではない。実はナレーションも豪華なのだ。

 今回の『なつぞら』ではウッチャンナンチャン内村光良が務め、「なつよ」という語りかけが毎日のように繰り返されている。この抜擢について当の内村はラジオ番組『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBSラジオ)に出演した際、「ナレーションって難しいね。本当にね、修行ですよ」とコメント。コントに司会業、俳優業までこなす百戦錬磨の内村ですら、その難しさを実感している様子だった。

 実際、内村のナレーションには、批判の声もちらほら見える。土曜日放送回のラストに「来週に続けよ」という呼びかけがしばしば入るのだが、この客観的な言葉に「現実に引き戻される」という声が上がっているのだ。しかし、たまに入るコミカルな呼びかけは、コメディアン・内村ならではのもの。試行錯誤しながら、ナレーションをじょじょに自分のものにしつつあるようだ。

 内村のほかにも、これまで豪華なメンツが、朝ドラナレーターという大役を担ってきた。まず思い出すのが、流行語まで生み出した2014年上半期『花子とアン』の美輪明宏だ。美輪の哀愁ただよう声がドラマをさらに重厚にしており、締めくくりの「ごきげんよう」は流行語にまでなった。美輪の低く重々しい語りは朝に聞くにはおどろおどろしい、という声もあったが、じわじわと心に沁みる語り口調は少しずつファンを増やしていった。チャレンジングな起用だったが、結果的には朝ドラファンなら真っ先に思い出す、名ナレーションとなったのだ。

 また、女優や俳優以外からの意外な抜擢もあった。16年上半期『ひよっこ』のナレーションは、なんとマラソン解説者の増田明美。マラソンの実況では選手を見守る優しいコメントが好評だが、まさにあれをドラマナレーションでやったのだ。ときに笑いを取るコメントも多かったことから賛否両論もあったが、登場人物に寄り添い伴走するようなナレーションは、アットホームなドラマの雰囲気にぴったりだった。

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