温泉やリゾート地でハッピーに!「人生の楽園」移住ガイドの画像
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 家賃の高い都会で老後を過ごさずに、リゾート地へ移り住む人が増加中。その魅力と検討点を、徹底的に解説!

 近年、住み慣れた街を離れ、地方へ移住する人が後を絶たない。それは若者だけに限ったことではなく、シニア層も盛んだという。彼らが目指すのは、それぞれの理想郷。楽園への移住は60歳、70歳からでも遅くないのだ。

「10年前に比べ、移住希望者は約15倍になりました」 こう話すのは、地方暮らしをサポートする認定NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)理事長の高橋公氏だ。同センターが作成した「来訪者・問い合わせ数の推移」によると、2008年に2475人だった希望者は、右肩上がりに増え続け、18年は4万人を突破。そうした希望者の年代についてのデータを確認すると、20〜30代が急増していることも分かる。「一見、シニア層は少なく見えますが、若者層の伸び率が勢いがあるだけで、シニア層も増加しています」(前同)

 ここ10年で移住希望者が急増した理由を、高橋氏は、「リーマンショックの頃に移住した人たちが、今まさに、“結果を出している”様子が、メディア越しに伝わるから」だと分析する。「たとえば、“農業でこれだけ成功しました”など、都会で疲弊するよりも、自分の能力に応じて自然と向き合って暮らすことで、充実した毎日を送っている……という移住者の話が、雑誌やウェブ上にあふれていますからね」

 そのため、自然環境のよい農地つき物件を希望するシニア層が多いという。しかし、自然の豊富な地方ならどこでもいいわけではない。しっかりリサーチしないと、失敗してしまうこともあるのだ。自身も移住者であり、総務省の地域力創造アドバイザーを務める、ファイナンシャルプランナーの泉谷勝敏氏が話す。「トラブルの元で多いのは、人間関係です。たとえば、移住者がまったくいないような“穴場”の地方にポンと移住してしまったとすると、そんな移住者の存在は、そこで長く暮らしている人にとって、“この人は、なぜ、こんなへんぴな場所に来たんだろうか”と、怪訝に思われかねない。すると人間関係に齟齬が生まれ、村八分に発展してしまうこともありえます」

 そこで、泉谷氏が「移住しやすい場所」として挙げるのが、リゾート地だ。「古くからの人間関係だけに縛られている土地ではない“リゾート地”は、移住者のコミュニティができあがっていることが多いので、地元民から孤立せずにすみます。その土地に住むにあたり、地域と関わらなきゃいけない状況で、“移住者が多い”という環境は、本当に重要ですね」

 “リゾート”という言葉の印象からは海水浴などの活動を想像しがちだが、「温泉地やグルメに秀でた“リゾート”なら、シニア層向き」と、泉谷氏は話す。

 さらに近年は、バブル景気に乱立したリゾート地のマンションが、驚くほど低価格で売り物件として並び、移住者の手に渡る例も少なくない。管理費が高額であることを踏まえても、リゾート移住は“お得”と言えるかもしれない。しかし、その中でも精査は必要。泉谷氏も「リゾートは魅力的ですが、観光と定住は違う、ということを意識しなければならない」と念を押す。「観光は楽しいだけですが、定住は楽しいことも、しんどいこともあります。だからこそ、“大自然に囲まれたリゾート地に住みたい!”という理想を突き進む前に、利便性も視野に入れたリゾート移住を考えることをお勧めします」

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