安里麻里(左)と麻美ゆま
安里麻里(左)と麻美ゆま

 先週に続いて、映画監督で脚本家でもある安里麻里さんとの対談です。7月19日より上映される映画『アンダー・ユア・ベッド』は、好きな女性のベッドの下に潜む男の物語。ただ、監視を続ける中で、その女性が夫からDVを受けて、乱暴されていることも知ってしまうんです。ベッドの下に隠れながら、好きな女性を助けることもできず、葛藤する主人公。そんな主人公の三井を演じる高良健吾さんも、この映画で、かなり体当たりな演技をされているんです。

ゆま「映画を観ていて、ちょっとビックリしちゃったのが、高良さんがオムツをはくシーンです。ベッドの下に潜り込んで生活するために、オムツまではいているなんて(笑)」

安里「あのシーンは脚本を書いているとき、最初はオムツを“買う”シーンったんだけども、何かピンとこなかった。ただ買うだけだと、意味がない。いや、これはくんだ! と書き直しました。オムツをはくという画的な衝撃と、そこまでして女の横にいたいという思いが見える。それで高良さんに、オムツはいて、とお願いして(笑)。快諾してくれました」

ゆま「おおっ」

安里「ちなみに、現場では高良さん以外も、スタッフもオムツはいてましたけど(笑)」

ゆま「えええっ!? 男性陣は全員、オムツ? まさか、監督もオムツをはかれたとか?」

安里「あっ!  私もはけばよかったですね(笑)」

ゆま「さすがに、監督がはいたら、みんな、どうしていいか」

安里「じゃあ、私はノリに任せてオムツをはかなくて正解でしたね(笑)」

ゆま「撮影の裏話を聞くと笑っちゃうことが多いですけど、映画自体は本当に繊細な心理描写と、いったい何が、この主人公にあったのか……そういう謎が少しずつ解明されていくドキドキ感と、怖さがありました」

安里「ありがとうございます。公開されたら、ぜひ映画館でも観てほしいです」

ゆま「絶対、観に行きます。ちなみに、安里監督は数多くの映画を手掛けていらっしゃいますが、映画監督になろうと思ったキッカケはなんだったんですか?」

安里「映画はもともと好きでしたけど、監督になろうなんて思ってもいなかったです。それが大学生のとき、友達が映画サークルに入っていたので、誘われたんですね。そこでは自主映画を撮っていたんですが、とても小さいカメラで友達を撮っているだけ(笑)。なんだ、これは? と思ったんですが、やってみたらすごく面白くて、映画を作る側に回りたいと思ったんです。そんなとき、私の師匠でもある黒沢清監督が映画学校を作られたんですね。で、私も受けるだけ受けてみようと受験したら、合格したんです」

ゆま「すごい」

安里「授業料は友達がカンパしてくれたんですよね」

ゆま「いいお友達ですね。映画を作るうえで、参考にされている監督さんとかはいらっしゃるんですか」

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