「飲むべきビール」「ダメなビール」完全判定の画像
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 のどが渇いて、つい飲みすぎてしまいがちな夏だからこそ知っておきたい、ビールの栄養素と危険性を徹底検証!

 仕事帰りに、キンキンに冷えた一杯をグイッとひと飲み。ビールのうまい季節がやってきた。ビールとひと言に言っても、一般的なビール(主に原料が麦芽とホップ)や、発泡酒(主に麦芽比率25%未満で副材料を使用)、第3のビール(発泡酒に麦由来のリキュールを混ぜたもの)、ノンアルコールビールと種類は豊富。最近では第3のビールに「糖質ゼロ」をうたう製品も目立ってきた。お腹の出てきたお父サンにとっては、強い味方となりそうだが、糖質ゼロビールの缶に表示された「原材料欄」に「糖類」の文字を見つけ、驚いた人もいるだろう。これで、なぜ「糖質ゼロ」なのか。「100ミリリットル中に糖質が0 .5グラム以下の場合はゼロと表示してもいいと定められています。ですので、糖質ゼロとうたっていても、実際には微量ながら糖類が含まれていることもあるんです。何杯か飲めばその分、糖分を摂取していることになり、食後の血糖値上昇につながります」(栄養士)

 糖尿体質の人は、糖質ゼロだからといって安心できないというわけだ。

 その一方、ビールと健康との関係に詳しい新潟大学名誉教授の岡田正彦氏(医学博士)は、「人類が紀元前4000年からビールを飲んでいたという文献もあります。それだけ長い歴史のある飲み物が、体に悪いはずがありません。圧倒的に体にいいと思っています」と言う。では、具体的に何が体にいいのか。「まずは、原料のホップです。ホップはビール特有の苦味と香りをもたらし、味を左右する植物ですが、ポリフェノールが含まれています。老化やガン予防につながるとされる抗酸化物質の王様のような存在です」(前同)

 岡田氏によると、ポリフェノールのほか、ビールはカルシウム・マグネシウム・リン・カリウム・ビタミンB・ビタミンCも豊富。これらミネラルやビタミンに加え、発泡酒や第3のビールの中には食物繊維が豊富に含まれているものもある。岡田氏にビールの“効能”を挙げてもらうと、(1)血液をサラサラにする(2)ウイルスに対抗する(3)炎症を抑える(4)動脈硬化を抑える(5)認知症の予防になる(6)更年期の症状を抑える

 まさに、いいこと尽くめだが、これで驚くのは早い。「コレステロール値の高い人が1日330ミリリットル缶(外国ブランドのビールは主にこのサイズ)1本を1か月飲み続けると、明らかにコレステロール値が下がったというデータもあります」(岡田氏)

 ビールは効果抜群の「健康飲料」だったわけだ。とはいえ、アルコール類なのだから、当然、飲みすぎは禁物。肝機能の低下などのリスクを高めるからだ。しかし、寿命に関係する興味深い疫学データもある。「アルコール摂取量と死亡率(人口10万人あたり)の関係です。結果、男女ともに毎日1杯のアルコール飲料を飲んでいた人たちの死亡率が最も低かったんです」(前同)

 ビール・ワイン・ウイスキーの酒類別に死亡率を調べた調査もある。それによると、ビールはワインには及ばなかったものの、ウイスキーより低かった。

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