通称「怪談和尚」として人気の三木大雲住職
通称「怪談和尚」として人気の三木大雲住職

 私がまだ幼稚園児だった頃のお話です。生まれ育ったのが古いお寺だったので、トイレが外の庭に面したところにありまして。ちょうど、雨上がりだったと思うんですけど、「トイレ行こう」と思って外出たら、庭にね、ライオンぐらいの大きさの猫がいたんです。

「大きい猫がいる! 怖い、食べられる!」と思ったら、その猫が私の膝のところをバッと引っ掻いてきました。実際、切れたんですよ、膝が。バックリ割れちゃって、「お母さ~ん、助けて!」って叫びながら泣きじゃくりましたね。

 うちの母親も「どこで切ったんや~」と驚いて、病院で縫わなきゃいけないってなったら、うちのおばあさんが「あ、その傷は縫わんでも治る」って言うんです。すると、庭の土を膝につけて「これで、しばらくおいときなさい」って言われました。それで、なぜか治ったんですよ。

 それからず~っと、子どもの頃、猫が怖くて。猫って尻尾1本なんですけど、私が見た猫は尻尾の数がすごく多い。尻尾の先が何本にも割れてる感じなんですよ。それがワ~ッと揺れる。喜んでるのか、尻尾を振ってるんです。それがね、実際見たら、引くぐらい怖いんですよ。

 で、今思うと、狐だったような気もしたり……。「九尾の狐」っていうのが昔からいて、あれがライオンぐらいの大きさなんですよね。

 そのときにやられた傷は今でも残っていますが、痛みとかね、本当に鮮明にリアルに思い出せるぐらい記憶に残っているんですよ。

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