辻希美
辻希美

シリーズ「アイドルと結婚できる職業」

第14回 特撮ヒーロー俳優

 令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)の放送が9月1日にスタートした。今回はこれにちなみ、「特撮ヒーローを演じた俳優」をテーマにしたい。以前掲載した「俳優」というテーマとのカブりが一部にある点についてはスルーしていただければ幸いである。

 なお、日本のテレビにおける特撮ヒーローの歴史は古く、作品数も膨大であることから、今回は、「ウルトラシリーズ」(66年~)、「仮面ライダーシリーズ」(71年~)、「スーパー戦隊シリーズ」(75年~)の3大シリーズに絞り、それぞれ作品の制作順に検証していきたい。また、脇役やゲストではなく、あくまで“ヒーローに変身する人物”を演じた俳優に限定することとする。

■コスモスは19歳だった辻希美とゴールイン

 まずは、この7月から、ウルトラマンタロウの息子の活躍を描く『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)がスタートした「ウルトラシリーズ」から。

 実は、少なくとも昭和期には、ウルトラマンに変身する人物を演じた男性俳優は、“アイドルと結婚できる職業”ではなかった。『ウルトラマン』(66年)の黒部進から『ウルトラマン80』(80年)の長谷川初範まで、昭和のウルトラマン俳優のなかに、女性アイドル、女優、歌手、タレント、モデルらと結婚した人物はほとんど見当たらない。

『ウルトラセブン』(67年)の森次浩司(現・森次晃嗣)が、シャンソン歌手の女性と結婚している程度だ。ただし、その結婚は森次がモロボシ・ダンを演じる前の66年のことだ。

『ウルトラマン80』を最後に長らく国内でテレビシリーズの新作が制作されなかった「ウルトラシリーズ」だが、96年に満を持して復活すると、状況が変わる。

 その平成シリーズの第1作『ウルトラマンティガ』は、当時すでにトップアイドルだったV6の長野博を主演に起用するという安全策がとられた。長野はその後も、V6としての活動を続け、20年後にタレント・女優の白石美帆と結婚している。だが、元々本人がアイドルだし、ジャニーズだしで、ウルトラマンを演じたことが結婚につながったとは考えにくいが……。

『ウルトラマンガイア』(98年)の主人公・高山我夢を演じた吉岡毅志は、双子姉妹ユニット「FLIP-FLAP」のメンバーだったAIKO(妹)と09年に結婚したが、14年には離婚。しかし、翌年にはグラビアアイドル出身で、『ウルトラマンメビウス』(06年)のレギュラー、「彩才女組」というアイドルグループのセンターとしても活動した平田弥里と再婚をしている〈*〉。

 また、同作でウルトラマンアグルに変身する藤宮博也を演じた高野八誠は、共演していた若手女優・石田裕加里と結ばれた。

 無名の存在から特撮ヒーローを演じることで有名になり、その後に全国区のメジャーアイドルとゴールインという、本稿のテーマに見事にハマる人物が、『ウルトラマンコスモス』に主演した杉浦太陽だ。その結婚相手は元モーニング娘。、元ミニモニ。、元W(ダブルユー)のメンバーで、当時まだ19歳だった辻希美である(07年)。すでに結婚から10年以上が過ぎているが、辻は昨年までに4児を出産しており、夫婦仲は円満、良好ということなのだろう。

 ほかに、映画『ウルトラマンサーガ』(12年)で、ウルトラマンゼロ(ウルトラセブンの息子)に変身するタイガ・ノゾム を演じたDAIGOは、トップ女優の北川景子と16年に結婚している。ただし、これもウルトラマンありきではないだろう。

「ウルトラシリーズ」は他に比べ作品数が少なく、比例してトータルの出演者数が少ないこともあって、事例としてはこの程度だ。

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