吉沢亮
吉沢亮

 連続テレビ小説なつぞら』(NHK)が後半になって急展開を見せ、ヒロインのなつ(広瀬すず/21)が長年勤めた東洋動画を去って、新たな挑戦を始めた。また、朝ドラだけにとどまらない大きな発表があったのだが、まずは9月8日の放送を振り返り、そのウラ事情について考えてみよう。

 天陽(吉沢亮/25)の死後、十勝に帰ったなつは、夫である坂場一久(中川大志/21)が企画していた物語に心ひかれ、東洋動画を辞めることを決意。仲(井浦新/44)と昼食を共にしたときに、東洋動画を辞めて大沢麻子(貫地谷しほり/32)が率いるマコプロに移りたいと告げて……。

 ついになつが動いた! 最近は母としてもいろんな表情を見せてきたが、アニメ職人として大きな仕事に挑む。東洋動画を支えた下山(川島明/40)、神地(染谷将太/27)といった面々も、アニメ作りを行うマコプロへの移籍を決めた。しかし、先週のニュースはなんといっても天陽の死だろう。

 この世を去った天陽がなつと相対する場面は、涙を誘った。なつの幼なじみにして初恋の人、そして悲運の夭折画家として強い印象を残した天陽。『なつぞら』には注目の若手俳優がたくさん出演していたが、はかなさと華やかさを持ち合わせる見事な演技をみせた吉沢亮こそ、『なつぞら』の最ブレイク俳優に違いない。

 そしてこの天陽ロスの真っただ中に、とんでもない話題が飛び込んできた。それが、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主演が吉沢亮に決まったというニュースだ。「そう来るか!」と驚くと同時に、「なるほど!」という感情も生まれた。というのも、ここのところの朝ドラは大河ドラマの番宣状態なのだ。

まんぷく』でヒロイン福子(安藤サクラ/33)の夫、萬平を熱演した長谷川博己(42)が来年の大河『麒麟がくる』では主人公の明智光秀を演じる。さらにそのライバルである織田信長を演じるのが、『なつぞら』で神地航也を演じる染谷将太だ。大河ドラマに比べ視聴率が好調な朝ドラに、うまくリンクさせたいという、NHKの思惑があるのだろう。

 だが、長谷川や染谷は、すでに全国区の人気俳優だった。それに比べ、『なつぞら』以前は若者向け作品への出演がほとんどだった吉沢亮の抜擢は、意味合いが違ってくるのだ。

 吉沢のケースにもっとも近いのは、斉藤由貴(53)がヒロインを務めた1986年上半期の朝ドラ『はね駒』でブレイクした、渡辺謙(59)だろう。朝ドラから大河という流れで出世した女優や俳優は多いが、短いスパンで主役の座まで射止めたのは渡辺謙ぐらいしか例がない。

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