■山口智子も再登場で話題に

 朝ドラは放送期間も撮影期間も長い。それゆえ出演者の多くが、物語の後半で再登場することが、特徴の1つになっている。これまでも1996年のレジェンド作『ふたりっ子』では、ヒロインの幼少期を演じた当時は子役の三倉茉奈(33)と三倉佳奈(33)が、後にヒロインの娘役として再登場をして話題となった。

『なつぞら』はこの「再登場」というクラシックな演出方法を上手に使い、ドラマをより重厚にしている。まず、驚いたのが山口智子が演じた亜矢美の再登場だ。東京を飛び出した彼女はなんと北海道に上陸。偶然、なつたちと再会すると、雪次郎(山田裕貴/28)が働く菓子店、雪月で働くことになるという、かなりトンデモな展開だった。

 ほかにも、なつが川村屋で働いていた頃の同僚、水谷果穂(21)が演じる佐知子が、咲太郎(岡田将生/30)の事務所に雇われて再登場。戸田恵子が演じる歌手の煙カスミが、『大草原の少女ソラ』のオープニング曲を歌い再登場するなど、物語終盤に向けて懐かしのキャストが次々に顔を見せている。

「再登場」は朝ドラの定番演出手法なのだが、ここまで連発されるのは珍しい。本作の脚本家、大森寿美男氏が手がけた朝ドラ『てるてる家族』は石原さとみ(32)の主演だが、ヒロインの幼少期に出会った人々との関係が将来につながる、という人の「つながり」が丹念に描かれた良作だった。ご存知の通り『なつぞら』はアニメ史がメインのテーマだが、この「再登場」の連発を見ると、人との縁が、さらに新しい縁を生んで広がりを見せていくことを、かなり意図的に強調している。『なつぞら』が本当に伝えたかった裏テーマは、この“人のつながり”だったのかもしれない。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

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