広瀬すず
広瀬すず

  いよいよ連続テレビ小説なつぞら』(NHK)が、9月28日に最終回を迎える。広瀬すず(21)が演じたなつの目線で、アニメ黎明期と働く女性の姿が丹念に描かれた良作だった。その最終回を前に、ヒロインを演じた広瀬すずについて、あらためて考えてみたい。

「朝ドラ100作目」とテンション高めで始まった『なつぞら』は、ヒロインの発表が放送1年半前と異例で、99作目『まんぷく』のヒロイン発表よりも先という大フライングでスタートした。NHKの100作目への意気込みが、いかに大きかったかが想像できる。しかもヒロインを演じるのは、すでに人気女優だった広瀬すずだ。

 これまで、広瀬すずは「持っている女」と言われてきた。女優デビューから2年後の2015年には是枝裕和(57)監督の『海街diary』に出演し、新人賞を多数受賞。16年は人気漫画『ちはやふる』の劇場版映画の主演に抜擢。同年は『フラガール』などで知られる李相日監督の『怒り』にもオーディションを勝ち抜いて出演し、この2作で広瀬は日本アカデミー賞優秀主演女優賞と優秀助演女優賞をダブルで受賞する。翌17年はその勢いのまま『三度目の殺人』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得。と、出演作がすべてヒットし、高い評価を受けてきた。なるほど「持っている女」だ。

 そして今年、堂々朝ドラ100作目のヒロインを務め上げたわけだが、このことはこれまでの華麗な経歴とは、意味合いが違う。上記の映画での活躍は、たぶんにタイミングの妙もあった。『海街diary』のすずは中学生役でまだあどけない10代の広瀬にはぴったりだったし、『怒り』で演じた泉は事件に巻き込まれ心に傷を負ってしまう役だったが、女子高生らしい繊細な心理描写が見事で、ラストシーンの印象的なアップは宮崎あおい(33)ら豪華メンバーの中でも堂々、映画の顔という印象があった。これまでの広瀬は、自分の年齢に近い役柄を等身大の演技で表現し、成功してきたのだ。

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