波瑠
波瑠

 10月15日(火)からスタートした、『G線上のあなたと私』(TBS系)。『わたし、定時で帰ります。』『Heaven?~ご苦楽レストラン~』など、頼もしいヒロインの活躍を見ることができるTBSの火曜22時枠だ。そして今回、そのバトンは波留(28)に託された。

あなたのことはそれほど』のスタッフが集結したとのことで、さすが波瑠の魅力が分かっている! とニヤケてしまうヒロイン像。それは「仏頂面」からの「笑顔」である。

 そもそも波瑠は笑顔より、むっつりと頑固そうな表情がとても似合う人だ。だからこそ、『あなたのことはそれほど』で勘違いした不倫女を演じようがミジメにならなかったし、妙な同情心や共感もわかず、ライトに物語を楽しむことができた。

 この『G線上のあなたと私』で彼女が演じる也映子も、同じ会社の同僚と婚約したもののギリギリで「他に好きな子ができた」とフラれ、会社を辞めるハメになるという散々な設定だ。が、波瑠がそれを演じると、その経緯やヒロインの落ち込みよりも「そこからの立ち直り」に注目したくなる。愛想笑いより「だってもう仕方ないじゃん」とぼやきつつ、前に進んでいく仏頂面がとても頼もしいからだ。

 自己犠牲の精神が、一切なさそうな眼。そんな彼女がバイオリンという繊細な楽器を持ち、ギーコガーコと不器用に向き合う姿は正直、似合わない……! 「これからうまくなっていく姿が見たい!」と笑ってしまった。

 そこに絡んでくるのが、兄の元恋人に恋心を抱く、“けなげな大学生”の理人(中川大志/21)と、夫の浮気を知りつつも“耐える主婦”の幸恵(松下由樹/51)だ。也映子は、初回からさっそく人の恋を笑うような、デリカシーのない発言の連発で理人を傷つけ、それをさらにデリカシーのない突然のお宅訪問という離れワザで謝罪し、「またね」と帰っていく。あんな行動、冷静に考えれば人の心が分からない、単なる嫌な女である。しかし、波瑠が演じればアリなのだ。

 10月22日放送の第2回では、3人の初めてのバイオリン発表会の様子が描かれる。ここでも也映子は婚約者への未練を断ち切るため、結婚式の二次会で着る予定だったワンピースを着てくるという、鋼のメンタルぶりを披露する。さらには、主婦の幸恵が抱える家庭事情、夫の弘章(小木博明/48)と姑の由実子(夏樹陽子/66)の複雑な関係も明らかになるが、そこでまた波瑠の“ふてぶてしさ”がどう発揮されるかだ。

 G線上のアリアの繊細なメロディと、「多少ずうずうしくいったほうが人間関係うまくいく」という強いヒロインのギャップが、絶妙なハーモニーを奏でる。そんなドラマになりそうだ。(田中稲)

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