前回に続いて、“スズメバチ大好き芸人”こと『かにゃ』の丸沢丸さんとの対談です。日本で一番、人間を死に至らせているのがスズメバチ。超危険生物と遭遇した際の対処法も、聞いておきたいですよね。
ゆま「もし、スズメバチに狙われたときは、どうすればいいんですか?」
丸沢「そうですね。まず、当たり前ですけど“落ち着いて行動する”ことです。スズメバチが近づいてきて驚いて、あっちに行けとばかりに手を振り回したりすると逆効果。スズメバチも攻撃されていると思って、襲ってきますからね」
ゆま「なかなか、それって難しいですよね。どうしても大騒ぎして逃げちゃいそう」
丸沢「危険です。その逃げた方向にスズメバチの巣があったら、それこそ攻撃してきたと思われて、一気に大群で襲い掛かってきます」
ゆま「ひぃえ~!」
丸沢「とにかく、巣に近づかないことです」
ゆま「巣なんて、どこにあるのか分からないですよ」
丸沢「実はスズメバチの巣の周りには必ず、見張り役の蜂がいるんです。巣から少し離れた場所を旋回していて、侵入者が来ると、威嚇してくるんです」
ゆま「どういうふうに?」
丸沢「カチカチカチと下あごを使って、歯を鳴らすような音を出します。道を歩いていて、そういう音が聞こえたら要注意です。近くにスズメバチの巣がある証拠なので、周囲を見渡して、なるべく巣のなさそうな場所に移動してください」
ゆま「気づけるかなぁ。万が一、刺されてしまったら、どうすればいいですか?」
丸沢「もちろんすぐに医療機関に駆け込むべきですが、山の中などで刺された場合、すぐには行けませんよね。だから、僕なんかはいくつかの道具を持っていきます。その一つが、刺された部分から蜂の毒を吸い取る『ポイズンリムーバー』です。持ってきましたよ」
ゆま「これかぁ。この吸引口を傷口に当てて、スポイトみたいに吸い出す?」
丸沢「はい、そうです」
ゆま「よくドラマとかで、女の人が蜂に刺されたり、毒蛇に噛まれたりしたとき、男性がカッコよく口で吸ってくれるシーンがあるじゃないですか」
丸沢「あれは専門家の方に言わせると、あまり良くないそうです。口の中にもたくさんの雑菌があるので、他の病気がうつる危険も高いんです」
ゆま「そっかぁ。歯磨きをすれば大丈夫?」
丸沢「ま、まあ……」
ゆま「あ、でも、蜂に刺されているのに、“ちょっと待って”と歯磨きをするのも、だいぶ変ですね」
丸沢「アハハ。スズメバチ対応の道具にはもう一つ、アナフィラキシー対策用の“自己注射製剤”もあります。これも携帯しておくと、いざというときに安心です」
ゆま「おおっ。これをすぐに注射すれば、アナフィラキシーショックを避けられるんですね」
丸沢「はい。ただ、これは薬局などで買えるものではなく、医療機関で診断を受けて、さらに使い方の講習なども受けないと、買えないんです。スズメバチの危険に遭遇しやすい林業の方や、スズメバチの巣を駆除する方とかならまだしも、普通は皆さん、そこまでして持参して、山に行くことはありませんよね」
ゆま「確かに。でも、万が一のことを考えて、そこまで装備していくことは重要ですよね」