ワールドプレミアとのコンビで勝った、牡馬3歳クラシック最終戦の菊花賞は、記録ずくめの優勝となりました。5度目のVは、自分自身の記録を更新する歴代最多勝利数。50歳7か月6日での勝利は、伊藤藤吉元騎手の48歳と9か月23日を大きく更新する最年長記録となりました。
さらに、あまり大きな声では言えませんが、令和になって重賞を勝っていない僕にとって、この勝ち星が令和初の重賞勝利。しかも、昭和、平成、令和と3時代をつなぐG1勝ちです。
ワールドプレミアは、春は皐月賞への優先出走権を手にしながら、ケガのために出走を断念。性格的にも子どもっぽさが残っていて、正直、大丈夫かな、と半信半疑の気持ちでレース当日を迎えました。ですが、レースでは、それが一変。スタートをうまく出て、道中も折り合いを欠くことなく、しっかりとした走りで追走し、インを突いた最終コーナー、GOサインを出した最後の直線で鋭く反応。スタンドを埋め尽くした、たくさんの競馬ファンの皆さんに、強いワールドプレミアを見せることができました。
デビューから今日まで、ワールドプレミアの体調に合わせ、一歩ずつ、前に進んできたスタッフ、そして、友道康夫先生に感謝です。そして、もう一人ではなく、もう一頭――産駒のワールドプレミアと、唯一、彼の背中を知っている僕のために、天国からそっと後押しをしてくれたディープインパクトにも感謝ですね。
ラグビーワールドカップでは、どんな場面でも、正々堂々、真正面から立ち向かっていった日本代表に勇気と元気をいただきましたが、ここからは競馬の番です。
――ラグビーもいいけど、やっぱり競馬だよね。そう言ってもらえるような、ホットな競馬、激しい競馬、心が震えるような競馬をお見せしたいと思っています。
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