■警察や消防には限界がある

「災害が発生した際、自分の住む場所は具体的に、どんなリスクがあるのか。浸水なのか、建物崩壊なのか、火災なのかなど、具体的に把握しておくことが必須です。各自治体が提供するハザードマップなどで、情報収集が可能です。また、自分の避難場所がどこになるのかも、知っておくべきですね」(同)

 いつ何時、襲ってくるか分からない大災害。最低限の備えが必須の時代になったと言えるが、それでも被災してしまうのは仕方がない。自分が被災者となったときに、最も頼りになるのが自衛隊だろう。防衛省関係者が言う。

「警察や消防も災害対応に当たりますが、やはり限界がある。自衛隊が出動するのは、各自治体のトップから災害派遣要請を受けてからになりますが、我々は要請を受ける前から偵察機を飛ばすなどして、被害状況を掌握し、備えています。近年は自治体側が迅速に災害派遣要請してくれるので、初動対処がスムーズになりました」

 自衛隊の災害派遣活動をまとめた著書『自衛隊さんありがとう』(双葉社)がある、ジャーナリストの井上和彦氏が言う。

「自衛隊は災害派遣命令が下ると、東日本大震災のように、ガレキの山となってしまった被災地にやって来て、あっと言う間に拠点(テント、炊事場)を作り、道がないところには道を作ってしまいます。つまり、自立的な救援活動が可能なんです。これは警察、消防では不可能です。警察や消防の場合は、“食事は? 宿泊先は?”となりますからね」

 一朝事あらば、陸自隊員が真っ先に駆けつけ、海空自衛隊は、輸送や航空機による人命救助、海上からの物資輸送を行う。「世間の方は、災害派遣は陸自(陸上自衛隊)が中心と思われがちだが、実際は陸海空の別はありません。陸海空自衛隊が連携しながら、常に“オール自衛隊”で事に当たっています」(前出の防衛省関係者)

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