連続テレビ小説『スカーレット』(NHK)は一気に物語が進み、ヒロイン喜美子(戸田恵梨香/31)と八郎(松下洸平/32)がついに結婚。あっという間に子どもまで生まれた。まずは12月21日の放送を振り返り、今後の展開を考えてみよう。
喜美子たちが結婚の記念に家族写真を撮ろうとしていたところに、信作(林遣都/29)から電話がかかってきた。それは喜美子の作ったコーヒー茶碗を気に入った女性が、大量のコーヒー茶碗を注文したいという驚きの内容だった……。
喜美子と八郎の純愛がついにゴールを迎え、SNSでも「きみちゃん、ハッチおめでとう」「結婚おめでとう」と喜びの声があふれた。一方で、ドラマスタートから3か月近くでヒロインが結婚したこともあり、視聴者の興味はほかの登場人物の恋へと移っている。
この日の次週予告で信作が喜美子の妹、百合子(福田麻由子/25)の肩を抱き寄せるシーンが流れ、視聴者のどぎもを抜いた。信作は喜美子の幼なじみでおとなしい少年だったが、中学生以降、モテ男にキャラ変。高校から数えて通算13人もの女性に言い寄られたという、とんでもない武勇伝を披露している。
しかもなぜか喜美子の夫、八郎にもなつかれ、信作&八郎カップルのかわいらしさも話題に。八郎とじゃれて犬のようなリアクションを見せたときには、「甘える子犬」「信楽のマスコットボーイや!」と、信作を絶賛するつぶやきでツイッターも盛り上がっていた。
そんな、愛され子犬キャラを見事にこなした林は、2018年の『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の牧役で世の女性たちを虜にしたことが、記憶に新しい。07年の映画『バッテリー』で、高校生ながらいきなりの主演デビューという華々しいキャリアを持つが、デビューから12年が過ぎ、どんどん役者として力をつけてきている。ドラマ『火花』(NHK)など主演作でもしっかり結果を残している演技派だが、最近は彼に求められる立ち位置も変わってきているようだ。
『おっさんずラブ』の牧も今回の『スカーレット』の信作も、主役以上にキャラ立ちしている。林遣都はドラマ全体の人気をアップさせる、マスコットボーイとして期待されているのだ。俳優多しといえど、このような立ち位置にいる人物は、そう多くない。まさに子犬のような彼独特の引力が、多くの視聴者の心をつかんでいるのだ。
『スカーレット』もヒロインの結婚で、どこか落ち着いた雰囲気が出てきているが、年末の朝ドラは物語が急転することが多い。ここはひとつ、マスコットボーイの信作に、ぜひ大暴れしてもらいたい。(朝ドラ批評家・半澤則吉)
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