伊藤万理華
※伊藤万理華/画像は本サイトの記事(https://taishu.jp/articles/-/56932)より抜粋

乃木坂46「個人PVという実験場」

第3回 伊藤万理華「乃木坂46個人PV」の世界を象徴する存在 3/4

■俳優・伊藤万理華としての個人PV

 乃木坂46が制作する映像コンテンツの強みとして、丁寧に作られたハイクオリティのドラマ作品群があげられる。そして、それらドラマ作品を手掛ける映像作家と巡り合い継続的な関係を結ぶにあたって、重要な役割を果たしてきたのが個人PVという企画であった。乃木坂46は個人PVをクリエイター開拓の場としても活用しながら、自らのフィルモグラフィーを充実させてきた歴史をもつ。

 そしてまた、デビューシングル収録の柳沢翔監督による『ナイフ』がそうであったように、伊藤万理華はしばしば、個人PVを通じてドラマ制作に優れた映像作家と出会ってきたメンバーであった。

 伊藤がドラマのキャストとして鮮烈な印象を残した『ナイフ』からおよそ1年半後、彼女の個人PVは久々にドラマ調の作品として企画される。このとき演出を担当したのが、湯浅弘章である。湯浅と乃木坂46との関わりは5thシングルに収録された橋本奈々未の個人PVに始まる。それに続いて湯浅にとって2作目の個人PVとなるのが、7thシングル収録の伊藤の個人PV「万理華」となる。

(※伊藤万理華個人PV「万理華」予告編)

 同じ病院で入院生活を送る伊藤と少年(南出凌嘉)とが心を通わせてゆくメインパートに、時制の異なるもうひとつの病院パートが重なり合って、次第に双方の関係性が浮かび上がるこのショートドラマは、『ナイフ』以降の伊藤が俳優としての適性を示すための貴重な作品となった。

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