■松井秀喜ならいつでも監督を譲る

 ONを継ぐ者は現役選手だけではない。指導者としても大きな功績を残した2人の“後継者”となりうる人物も存在する。その最右翼として、まず名前が挙がるのは巨人の原辰徳監督(61)だろう。昨季、3度目の指揮を執ることになった原監督。巨人を5年ぶりのリーグ優勝に導き、低迷するチームを見事に立て直した。「指揮官としての手腕の高さはもちろんですが、原さんには球界をリードできるリーダーシップがある。そのあたりがミスターも一目置くゆえんでしょう」(スポーツジャーナリスト)

 実際、最近の原監督はセ ・リーグのDH制導入や、FAの人的保障見直しなど、球界全体に関する発言が増えている。「ミスターから帝王学の英才教育を施された原監督は、まさに長嶋野球の申し子。受け継いだ勝利への非情さと同時に、球界の顔としての動きも期待したいところですね」(前同)

 指導者ONの共通項、それはともに日本代表を率いた経験があることだ。それだけに、侍ジャパンを率いて東京五輪を戦う稲葉篤紀監督(47)には、ひときわ大きな思いを寄せている。「元日のON対談で、2人は“日の丸をつけた戦いは違う”と口をそろえ、国際大会のプレッシャーを語っていました。稲葉監督に金メダルを期待しつつも、先輩代表監督として温かく見守っているような印象でしたね」(前出の記者)

 指導者経験の乏しさから、当初は采配を不安視されていた稲葉監督。しかし、「昨年のプレミア12では、ネームバリューにとらわれない大胆な選手起用を見せ、見事に優勝。評価は確実に上がりました」(前同)

 ONの悲願である五輪での金メダルを期待したい。

 さて現在、日本球界と距離を置いてはいるが、未来を語るうえで欠かせない人物がいる。イチロー氏(46)と松井秀喜氏(45)だ。イチロー氏は昨年3月に現役引退を表明。現在はマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めているが、12月、プロ経験者が学生野球の指導者になるための「資格回復研修会」に参加したことが大きな話題となった。「イチローは引退会見で、日本の“プロとアマの壁”に言及し、ややこしいと語っていました。彼が今の球界に危機感を持ち、なんとかしたいと感じているのは間違いない。研修会への参加は、その第一歩だと思います」(前出の事情通)

 今のところ、イチロー氏の日本球界復帰の動きはないが、“待望論”は国内で確実に高まっているという。「今の球界が多くの問題を抱えているのは、誰もが分かっていること。あれだけの実績を残し、世界的な知名度もあるイチローが動いてくれれば、日本球界は一気に変わる可能性があります」(前同)

 その影響力は、すでにレジェンドクラスのようだ。「イチローは王さんを誰より尊敬している。王さんのように球界のため尽力してほしいですね」(同)

 そして、イチロー氏に匹敵するほどの人気と実績を持つ松井氏も現在、ヤンキースの役職に就き、アメリカ在住の身。常に巨人の次期監督候補に挙げられながらも、その意向は不透明なままだ。「阿部慎之助がポスト原の最有力とされていますが、原監督は“ゴジが帰ってきたら、いつでも監督を譲る”とも口にしている。なにより“松井監督誕生”はミスターの夢。球界のためにも、早く戻って来てほしいですね」(球団関係者)

 ONが引っ張ってきた日本球界は、伝承者たちが守っていく――。

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