■幻の星野仙一監督計画

 “読売のドン”として長らく球界に君臨したナベツネ氏は、03年にも事件の主役となっている。「原監督“辞表叩きつけ”事件」だ。「監督就任2年目のシーズン終盤、原さんは来季のコーチ人事の腹案を持って、形式上の進退伺いにナベツネさんを訪問したんです。ところが、コーチ人事を一蹴されてしまう。これに原さんがブチ切れて、辞表を叩きつけたんです」(同)

 すぐさま、球団からは後任監督として堀内恒夫の名が発表される事態に発展し、ナベツネ氏は「読売グループ内の人事異動」と、うそぶいてみせた。「この一件で、原さんは“巨人とは切れた”と思いましたがね。強かと言うか、運がいいと言うか……」(同)

 “棚ぼた”で監督に就任した堀内も2年でクビに。水面下では、超大物監督の招聘計画がスタートしていた。「幻の星野監督計画」だ。「巨人はなかったことにしていますが、堀内監督の後任に、阪神のシニアディレクターだった星野仙一さんを据える動きがあったことは事実です。これはナベツネさんの命令一下始まった計画で、当時の読売新聞大阪本社社長の老川祥一さんが指揮を執りました」(前出の読売関係者)

 話はトントン拍子に進んだが、“最後の最後”で、ご破算になったという。「星野さんが“自分の顧問弁護士をスタッフとして雇え”と要求したんですが、その弁護士は1リーグ制騒動の際に選手会側についていた人物だったんです。これにナベツネさんが激怒、話は流れたんです」(前同)

 最後に紹介する事件は、記憶に新しい19年の日本シリーズ。“球界の盟主”巨人が“新たな盟主”と目されるソフトバンクと激突し、日本シリーズ4連敗を喫したしたことだ。ソフトバンクの王会長は、うれしさを爆発させていた。「ダイエー時代の球団代表に、こうメールを送っているんです。“巨人に勝っての日本一。念願がかないました”――」

 王会長の巨人に対す愛憎の胸中は、本誌でもたびたび特集しているが、“巨人に勝っての日本一”が格別だったことは間違いない。

 20年シーズン、巨人から飛び出すのは悲惨な事件か、うれしい事件か。

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