■乳製品は体にいい?

 また、体にいいとされてきた食べ物で、実は、それが非常識だったというのも多い。まずは「発酵食品は体にいい」――こんな常識には注意が必要だ。「発酵食品なら、なんでもいいというわけではないんです。“飲む点滴”ともいわれる甘酒は糖質のかたまり。キムチ・ぬか漬けといった漬物類、なれ寿司などは保存性を高くするために塩分が多く、多量にとれば逆効果です」(前同)

 淡い色合いで、だまされがちなのが薄口醤油。「薄口醤油は塩分控えめ」というのも大間違いだ。「しょっぱくないから塩分少なめという舌の感覚からも、薄口を選ぶ人が多いようですが、実際には逆。塩分濃度は、薄口が18~19%、濃口が16%です」(同)

 見た目と食感には要注意なのだ。

 ところで、牛乳嫌いの読者の中には、小学校の頃、給食で残した牛乳を昼休みの間も飲みきるまで教室に残された経験があるだろう。ところが、「牛乳は体にいい」という常識は崩れ出している。前出の岡田氏が続ける。「成長に欠かせない栄養素を含んでいますから、10代半ばまでは飲んでいいと思います。しかし、大人が飲むと、カロリーが高すぎて検査値に影響が出てきます。私の患者さんでも牛乳を飲む量を減らしたら、高かった中性脂肪の数値が驚くほど下がったという例もあります。牛乳は現代病の権化。飲むなら、コーヒーカップ1杯程度までです」

 さらに牧田氏は、こんな問題点を指摘する。「牛乳が、どうやって製品化されたかが重要。狭い場所に何頭もの乳牛を押し込めておくと感染症が起こりやすく、抗生物質の投与の他、成長させるために肥育ホルモン剤を投与することもあります。また、高温殺菌することで乳酸菌など大切な栄養素が失われていくのです」

 一時、その牛乳を原材料とするバターには動物性油脂が含まれているから体に悪い、だから「植物性油脂が含まれているマーガリンを食べよう」という話が広まった。一方で、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸も体に悪いと言われる。いったい、どちらを食べたらいいのか。「欧米人のように油を使った料理ばかり食べていると、トランス脂肪酸を気にする必要がありますが、日本人の食生活なら問題はありません。一方、日本人の場合、朝食のトーストにバターを少し塗る程度ですから、バターも問題ないと言えます」(岡田氏)

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