■仲間由紀恵は山内一豊の正室を好演

 正室タイプの2人目は、『功名が辻』(2006年)で戦国時代の出世譚として有名な“山内一豊の妻”にふんした仲間由紀恵(40)。信長、秀吉、徳川家康に仕え、最後は土佐二十四万石を領した山内一豊(上川隆也)の正室・千代を仲間は好演した。

「“おまえさま”と言いながら、おだてたり、すかしたり。そうやって一本気な夫の一豊を立てる千代の内助の功を、仲間は嫌みなく演じました」(夕刊紙記者)

『草燃える』(1979年)で鎌倉幕府を開いた源頼朝の妻・北条政子を演じた岩下志麻(79)も、文句なしの正室タイプだ。伊豆に流されていた源頼朝(石坂浩二)が現地の有力者、北条時政の長女・政子をめとり、東国武士をまとめ上げて平家を滅ぼし、鎌倉幕府を開くまでの夫婦の物語と、頼朝の死後、尼将軍と呼ばれ、北条家の後ろ盾となって活躍する物語からなる大河ドラマだった。

「岩下志麻は若い頃から貫禄がありました。松竹の看板女優だった時代から落ち着いていて、ついたあだ名が“駆けずのお志麻”。何があっても慌てず、けっして走らないという意味です。後に映画『極道の妻たち』シリーズで泣く子も黙る姐さんを演じたのはある意味、必然だったのかもしれません」(映画誌ライター)

 彼女の美貌と悠揚たる物腰は『草燃える』でも見て取ることができる。「時代劇に出てくる尼さんて、ミョ〜に色っぽくてソソられるんですよね。岩下も、この作品で尼さんの頭巾をかぶってましたが、女を捨てたはずなのに中身は現役バリバリの生身の女、という危うさを漂わせていて、興奮したのを覚えています」(下関氏)

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