乃木坂46のシングル『裸足でSummer』
※画像は乃木坂46のシングル『裸足でSummer』(Type-A)(DVD付)より

乃木坂46「個人PVという実験場」

第4回 乃木坂46映像作品で湯浅弘章監督が描く「時のうつろい」4/4

■選ばれる者と選ばれない者を描く

 乃木坂46のMVには、優れたドラマ作品が数多く存在する。湯浅弘章もその一端を担ってきた一人であるが、彼が「無口なライオン」MV(/articles/-/72362)に続いて手がけたのが、アンダーメンバー楽曲「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」のMVだった。

https://www.youtube.com/watch?v=1XHjDqJ20vw
(※「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」予告編)

 中原俊監督の映画『櫻の園』へのオマージュが強くうかがえるこのMVでは、女子校の演劇部を舞台に「選ばれる/選ばれない」者たちの葛藤が描かれる。「選ばれる者」としての齋藤飛鳥と「選ばれない者」としての伊藤万理華、そしてそれを見守る井上小百合の三者の関係を軸に、湯浅はこのMVを「無口なライオン」の際と同じく全編ドラマによって構成した。とりわけ、伊藤と井上による学校屋上の場面は楽曲の展開や尺から独立し、あくまで彼女たちの間で演じられたことで強い情感が生まれ、トレードマーク的なシーンとなる。

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