川口春奈
川口春奈

 今年の大河ドラマ麒麟がくる』(NHK)は、いろんな点で注目を浴びている作品だ。主演する長谷川博己(42)の自在な演技や色鮮やかな衣装も話題なのだが、やはり一番は放送直前で主要キャストが変更となったことだろう。

 帰蝶役の沢尻エリカ被告(33)が合成麻薬所持で逮捕との報が入ったのは、昨年11月16日。『麒麟がくる』の放送まで2か月を切ったタイミングで沢尻被告は降板となり、業界に激震が走った。

 そこで帰蝶役に抜擢されたのが、川口春奈だ。抜擢が発表されたときこそ不安の声はあったが、登場するやいなや「初めから川口春奈のほうが良かったんじゃ」「帰蝶役、川口春奈で大正解ですな」とSNSにコメントが挙げられた。沢尻エリカよりキャリアが浅く、時代劇経験もゼロの彼女が、これだけ歓迎されているのはどうしてだろう?

 それは『麒麟がくる』というドラマへのマッチング度の高さだ。沢口エリカよりも、間違いなく川口春奈のほうがこのドラマにハマっている。一見、気が強そうだがあどけない様子が残る川口春奈の帰蝶は、明智十兵衛(長谷川博己)の幼なじみで、彼に淡い恋心を抱くという設定。視聴者に芯がある女性という印象を持たせながらも、どこかはかない雰囲気のある帰蝶は、波乱が続くドラマ序盤を彩る花のような存在となっている。

 本作は骨太な戦国時代ものではあるが、長谷川が演じる明智十兵衛がおちゃめな一面を見せたり、斎藤道三にイケメンの本木雅弘を抜擢してこれまでの道三像を壊そうとしたりと、ところどころに「新解釈」が見受けられる。これまでにない大河というのが、本作の目標のひとつでもあるのだ。だからこそ、フレッシュな川口春奈が、ぴったり帰蝶にハマったのである。

 帰蝶は、濃姫という名で知られている。織田信長と政略結婚する女性で、父の斎藤道三譲りの気が強い姫だ。これまでも柴咲コウ(38)、内田有紀(44)、古くは松坂慶子(67)や名取裕子(62)と、そうそうたる名女優が演じてきた。

 過去のイメージに近かったのは、お姫様キャラが板についた沢尻エリカだったかもしれないが、これまでの大河を覆そうとする本作では、爽やかで清廉な帰蝶像を作り上げた川口春奈が適任だったようだ。怪我の功名といえるが、突然の抜擢の中、ドラマに見事、マッチしてみせた川口の演技力、適応力はすごい。本作が彼女の出世作になること、間違いないだろう。

 そんな川口はこの2月からYouTuberとしても、活動を開始している。地元、長崎の五島列島で撮影した映像が話題となり、公開から1週間で500万弱の再生回数を記録した。ほんわかでかわいらしい動画の裏には、知名度を上げたこのタイミングで女優の階段を一気に駆け上がろうという、したたかな本心も見え隠れする。まさに現代の濃姫のようだ。

『麒麟がくる』での新鮮な帰蝶役はもちろん、戦国時代さながら、群雄割拠の芸能界で彼女が今後、どう戦っていくか目が離せない。(ドラマライター・半澤則吉)

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